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少女機械人形コーパス 第二幕

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同日 
午前11時16分
中央エリア 黎苑由加里専用ピアノホール
<SEピアノの調べ>

黎苑
「……!」

黎苑紫―Yukari Reisono― 16歳。
ピアニストとしても有名な花立の親友。
饗庭くるみが活動を休止した事により、最近ではその人気も急上昇している。
他のCエリアの子供たち同様、両親を亡くしてCエリア在住。

<ピアノ止まる>
花立
「ごめん、邪魔しちゃったかな。」
黎苑
「ううん、全然。」
花立
「そう、良かった。」
黎苑
「美希の顔が今日見られるなんて、思わなかった。」
花立
「んー?」
黎苑
「だって…美希はもうデーケルターレのパイロットで、コーパスの人でCエリアから離れて…。」
花立
「まぁ、そうなんだけどさ。やっぱり私にとってこのCエリアは大切だし。それに」
黎苑
「……。」
花立
「しばらく会えなくなるんだもん。由加里の顔、しっかり見ておきたくて。」
黎苑
「美希…。」
花立
「せっかく演奏中だったのに迷惑?」
黎苑
「ううん!本当はね、私不安だったの。」
花立
「不安?」
黎苑
「うん。美希が遠くに行ってしまう気がして…不安で。だからピアノ弾いてたの。それだけなのよ。」
花立
「同じ地底都市の中の話じゃない。遠くになんて。」
黎苑
「うん…。そうなんだけど…。」
花立
「もうっ!そんな顔しないでよー。行きにくくなるじゃない。」
黎苑
「美希…。あなたの事、私が守れれば…こんな危険な事っ。」
花立
「Fエリアからのお達しの事?なら平気よ、18になった時から覚悟は出来てたわ。」
黎苑
「っ。」
花立
「ほら、私ってばキレイだから!なんつーか目ぇつけられてたみたいでー。あははっ。」
黎苑
「美希…。」
花立
「由加里、私は今幸せよ。」
黎苑
「でも…デーケルターレの前のパイロットはどうなったの?何にも知らされないじゃない。美希に何かあったら私…っ!」
花立
「確かに危険な仕事だと思うわ。それでもFエリアで不特定多数の人間の慰み者になるよりは、ずっと生きていられるわ。」
黎苑
「どうして…あんな場所…。
勿論、この閉鎖された地底都市では必要な事なんだろうとは思うわ。仕方のない事だとも思う。
でも、どうして望まない人間にまであんな仕事をさせるのよ…。」
花立
「仕方ないわよ、私たちは政府に生かされてるんだから。」
黎苑
「美希。」
花立
「由加里のピアノがコーパスでも聞けるように、頑張ってくれると嬉しいんだけどなー。」
黎苑
「美希が望むのなら、私は何だって。」
花立
「ありがとう。」
黎苑
「美希…きっときっと無事に帰ってきてね。」
花立
「当たり前じゃない。」
黎苑
「うん…信じてる。」
花立
「アリガト。それじゃ、もう行かなくちゃ。」
黎苑
「たまには帰ってこれるよね?」
花立
「そのつもり。」
黎苑
「じゃあ、その時までに新しい曲を完成させておくから。」
花立
「ホント?楽しみ〜♪」
黎苑
「うんっ。」
花立
「じゃ、行ってきます!」
黎苑
「行ってらっしゃい。」