少女機械人形コーパス 第二幕
皆
「お兄ちゃん…お兄ちゃんはどっかに行ったりしないよね?」
純
「お兄ちゃんはずっと側にいてくれるよね?」
東堂
「…ああ。」
皆
「お兄ちゃん、もうコーパスなんか辞めて!」
純
「なんか怖いの、皆も純も…。お兄ちゃんが消えちゃいそうで怖いんだよっ。」
東堂
「……すまない。」
皆・純
「「うっぅ…あ…うぇぇぇん。」」
東堂
(いっそ辞められたら…どんなにいいか。
俺は俺のエゴでデーケルターレに乗った。そうすれば大切な者を失わずに済むと思った…なのに。)
東堂
(何もかもが零れ落ちてゆく。だが…せめて…せめて皆と純だけは…守り抜く。)
東堂
(意志の疎通が計れなければコアに選ばれる事はないだろう…。だから)
東堂
「皆、純。お兄ちゃんの話をよく聞くんだ。」
<スチル終わり 立ち絵に戻る>
皆・純
「「?」」
東堂
「いいか、コーパスには絶対に近づいちゃダメだ。」
皆
「え?」
東堂
「コーパスの人間にも決して近づくな。外出する時は必ず二人一緒に行動して、他の誰かに付き添ってもらうように。」
純
「どうして?」
東堂
「どうしてもだ。お兄ちゃんはしばらく帰って来れなくなる。その間、出来るな?」
皆
「しばらく?しばらくってどれ位?」
東堂
「…心配するな。お兄ちゃんが信じられないか?」
皆
「ううん。」
純
「分かった。」
東堂
「よしっ。二人とも良い子だな。」
東堂は二人の顔をじっと見つめた。決して忘れぬよう。心に刻み込むかのように。
東堂
「それじゃ、お兄ちゃんは行くからな。」
皆・純
「「うん。」」
東堂
「行ってきます。」
皆・純
「行ってらっしゃい。」」
ウィィィン
東堂
(皆、純…すまない。俺は…)
東堂
(俺は死ぬ。)
東堂
(俺が消えれば…花立のコアとしてはお前達は不十分だ。コーパスとの関係を断てば利用される事もないだろう。)
東堂
(最初から…そうすれば良かった。お前たちとの生活を守りたいなんていう自分勝手な気持ちで俺は)
東堂
(有宮を尾ヶ崎を…!コーパスから逃れられないのなら…死んでしまえば良かったんだ…シンプルな答えだったのに。)
東堂
(皆、純…俺がいなくても…生きて、生きて生き抜いてくれ。)
作品名:少女機械人形コーパス 第二幕 作家名:有馬音文