少女機械人形コーパス 第二幕
同日
午後06時40分
コーパス 居住区
42号室
ウィィィン
尾ヶ崎
「ただいま。」
尾ヶ崎
「………。」
尾ヶ崎
「バルちゃん…いないんだった…。」
尾ヶ崎は停止したままのバルにそっと手を触れた。
尾ヶ崎
「ごめんね…バルちゃん…ごめんね…。」
全てを知るまではもう泣くまいと決めたはずの尾ヶ崎の頬に一筋の涙が伝う。
それを素早く拭うと、彼女は決意を込めた目で手の中に収められたアンプルを見つめた。
尾ヶ崎
(このアンプル…どこに隠せばいいんだろう。)
尾ヶ崎
(……そうだわ!左文字参謀長にお渡しすれば…!)
尾ヶ崎
(あの方ならきっと悪いようにはしない…!)
尾ヶ崎
(その為には懲罰房のセキュリティをクリアするプログラムと…私が懲罰房に入った形跡を消すプログラムを作成しなくては。)
尾ヶ崎
(大丈夫…バルちゃんががいなくても…私はやらなくちゃいけないんだから…。)
尾ヶ崎
(私は…今こそ全てを知りたい…!)
カタカタカタカタ…<タイプ音>
作品名:少女機械人形コーパス 第二幕 作家名:有馬音文