少女機械人形コーパス 第二幕
同日
午前10時30分
地底都市マヌス Cエリア 居住区
第10エレベーター前
花立
「よっ!まぁだご機嫌ななめ?」
東堂
「…行くぞ。」
花立
「はいはい。」
ウィィィン<エレベーター開閉音 背景エレベーター内>
ウィィィィィィン<エレベータ昇降音>
花立
「どうだった?休日はー。」
東堂
「…別に。」
花立
「そう。」
東堂
「花立は?」
花立
「私は楽しかったよー。こっちの友達とわいわいやってた。」
東堂
「そうか…。」
花立
「何?暗いねー。」
東堂
「………。」
東堂
(俺は妹を守る為に…こいつまで見殺しにするのか…?)
花立
「………。」
東堂
「………。」
花立
「…あの、さ。」
東堂
「………。」
花立
「…私達の前のパイロットの事…とかもあるし。なんていうか…よくっ、うん、よくは分からないんだけどさ。」
東堂
「………。」
花立
「なんか…。」
チンッ<エレベーター到着>
ウィィィン<開閉>
コーパス 第21区画 第10エレベーター前
花立
「あ…。」
土方
「お帰りなさい。」
花立
「わざわざお出迎えですか。ご丁寧にどーもっ。」
土方
「これも仕事よ。」
東堂
「………。」
土方
「さ、シュミレーションルームに行くわよ。」
花立
「げっ、いきなり?」
土方
「当然です。」
東堂
(……俺は、どうしてた?エレベーターの扉が開いたあの瞬間…あの瞬間に土方が現われなかったら…。妹を犠牲にしてでも真実を伝えただろうか。)
東堂
(……このままで良いわけがない。皆…純…!)
花立
「まぁた難しい顔してるよ。眉間の皺、クセになっちゃうよ。」
東堂
「…あ、あぁ。」
花立
「そうそう、イイ男が台無しになっちゃうよん♪」
東堂
(そんな風に微笑まないでくれ…!俺は…っ!)
作品名:少女機械人形コーパス 第二幕 作家名:有馬音文