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少女機械人形コーパス 第二幕

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ダッダッダッダ<SE>
Tの61エリアに駆け出すデーケルターレ。
だがその間もヴィロネカートは追ってくる。刀を鞘にしまい、フラマー兵器をその手に取る。
東堂
(だが、やるしかない!)
東堂
「フラマー兵器装備完了。」
土方
『了解。』
尾ヶ崎
『ナビゲート開始します。』
土方
『了解。ターゲットをロック!』
前方のモニターに集中し、作戦本部からのナビゲートの表示を睨みつける。
ヴィロネカートに照準が合ったその瞬間、ターゲットロックスイッチを入れた。
東堂
「完了!」
尾ヶ崎
『誤差ありません!行けます!』
土方
『放てーーーーーーーっ!』
土方の声と同時に東堂がフラマー兵器のトリガーを引く。
東堂
「くたばれ!」
ゴォォォォォォオォ<SE>
フラマー兵器から放たれた炎の波に、ヴィロネカートの細長い体が包まれていく。
野柳
『ヴィロネカートの装甲が溶けていく…!』
池峰
『ブレード展開!』
東堂
「はああああ!!」
命令を受けすぐさま刀を鞘から引き抜き、熔解するヴィロネカートを東堂は切り裂いた。
ギャアアアアアアアアアアアアアアア<SE>
ヴィロネカートの断末魔の叫びが辺りを包み込んだ。

東堂
「っ!やったか?!」
燃える炎の中、刀によって薙ぎ払われたヴィロネカートに視点を合わせる。
だがしかし、ヴィロネカートは焼失してはいなかった。
ドロドロに溶けたその体は無数の細い糸の群れへと変化していた。
その群集はまるでミミズのように大地を這いずり回りながら、
しかし確実にデーケルターレへと接近を開始していた。
野柳
『変化…だと。』
白いミミズの群れは、やがて一か所に集まり中心部に向かって蠢く球体となる。そしてその球体の中心部から1匹1匹、まるではじけ飛ぶようにデーケルターレへと飛びかかってきた。
東堂
「なにっ?!」
その変化に戸惑っていた東堂の体に無数の白いミミズ達は張り付いてくる。
東堂
「このっ…!」
刀で薙ぎ払おうと両手に力を込める。
だがしかし、こま切れとなったヴィロネカートを捕えるのは難しく、また次から次へと球体からは白いミミズが解き放たれる。
東堂
「…っ!」
手にも足にも顔にも体中に白いミミズが群がる。
その蠢きに体を支配され、デーケルターレの手からはついに刀が抜け落ちた。
東堂
「ち…くしょおっ…!」
自分の操るデーケルターレよりも遥かに矮小な存在に、抵抗する事すら叶わず為す術もなく蹂躙されるがままの東堂。
やがてその意識は薄れていった。
東堂
(くそ…体が……動か……な……)
東堂が半ば諦めたその時、東堂の耳に聞き覚えのある声が飛び込んできた。
<英一!>
東堂
「?!」
<英一!しっかりして!>
東堂
「その声…有宮…!」
有宮がコアとして配置されている!
その事実は東堂の意識を覚醒させるのに十分だった。
有宮
<なんなんだよコレ!?
気付いたら英一の姿が見えて…夢だって思ってた。夢の中くらい英一の事なんか放っとこうって思ってたのに…!>
東堂
「有…宮……っ。」
東堂の意識の覚醒を妨げるかのように、体中に張り付いていたヴィロネカート達は一斉にデーケルターレを締め付けた。
有宮
<ああああああああああああああああっ!>
肉体のありとあらゆる所で一斉に開始された圧迫に有宮は悲鳴をあげた。
東堂
「有宮…っ!」
有宮
<なんなの…なんなのよぉっ!!>
東堂の元に伝わるダメージ。そのダメージは有宮の受けるダメージの20%程度のものであったが、それですら大地に転がる刀を拾う事すらままならない程の痛みであった。
東堂
「くっそ…だから、だから俺に近づくなって言ったんだ!」
東堂は吐き捨て、必死に武器を取ろうとする。
有宮
<あ…ああぁ…!>
東堂
「有宮!しっかりしろっ!」
だが、決してその指に刀が触れる事はなかった。
ヴィロネカート達の締め付けは増し、その圧力は内臓まで抉りこまれているかのような激痛となる。
有宮
<ギャアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!>
東堂
「有宮ーーっ!」
痛む体、ともすれば飛びそうになる意識を無理やり引き戻し、東堂は必死にその腕に手に指に力を込める。
有宮
<…あぁ…あ…死ぬの…私……。>
東堂
「死なせはしない!」
力強く吐き捨て、必死に体に張り付くヴィロネカート達をその両手でそぎ落とす。
しかし大地に落ちたヴィロネカート達は、そのまま再びデーケルターレの足を伝い、体に張り付いてゆく。
東堂
「ちっ…くしょぉ…!」
己が無力さに絶望感すら走る。
東堂
(有宮!有宮を…助けるんだっ…!)
思いは虚しく、その手は空を切るのみ。
有宮
<いや…怖い…死ぬなんて……もう終わりだなんて…!>
有宮
<怖いっ!!>
<<―――――アゲ…ル>>
有宮
<ぃっ!>
東堂
「有宮?どうした有宮!!」
有宮が突如としてあげた小さな悲鳴に東堂は反射的に、彼女の名を呼びかける。
有宮
<あ…あぁ…。>
東堂
「おい!有宮!!」
有宮
<…そう…いう事だったの……。>
東堂
「?」
有宮
<もう…大丈夫。>
東堂
「何言って―――」
有宮の声にもはや恐怖は無かった。
まるで母に抱かれる子供のように落ち着きはらった彼女の声が東堂の脳内を支配する。
有宮
<全部、大丈夫だから。>
その言葉の意味を東堂が理解する前に。
キュィィィィィィィィィン
デーケルターレは激しく閃光し、その光は体に張り付いたヴィロネカートごと周囲を光に包みこんだ。