少女機械人形コーパス 第二幕
同日
午後05時46分
コーパス シュミレーションルーム前休憩室
花立
「お疲れ様だったわねー。」
東堂
「花立か。」
花立
「まったく、何しに出動したんだかって感じよね。腐敗毒で壁を作りだすなんて、聞いてないわよ。全く。」
東堂
「腐敗濃度からの予測が出来そうなもんだがな。」
花立
「そこなのよね。気になって野柳博士に聞いてみたんだけどさ。腐敗濃度が濃すぎて、どこまでが『楔の悪魔』が地下に張ってる『根』からか、どこまでが『楔の悪魔本体』か、はたまた大地の腐敗そのものから生み出された毒か、その判別がすっごい難しいんだって。」
東堂
「なる程な。科学といっても知れてるもんだ。」
花立
「まぁねー。地上にあった殆どの研究組織も無くなっちゃったし、所詮この10年の研究だもん。そうやって考えれば十分すぎる結果なんだろうけど。でも命をかけるのはこっちだもんね。」
東堂
「全くだな。」
花立
「ていうか、なんだ結構喋ってくれんじゃん。」
東堂
「ん?」
花立
「だってさー、なんか東堂っていっつもムスっとして人を避けてる感じがするから。」
東堂
「まぁ、無駄話は好きじゃない。」
花立
「ふぅん。で、尾ヶ崎参謀には何で冷たいの?」
東堂
「…何でそんな事を?」
花立
「いやぁ、だって見てて可哀想な位ヘコんでたよ?知らない仲でもないんでしょ?もっとこー、なんかあんじゃん?」
東堂
「参謀は上司。お前は同じパイロットだ。それだけだ。」
花立
「ふぅん。」
東堂
「俺はもう行く。じゃあな。」
花立
「お疲れ様ー。」
ウィィィン
<コーパス廊下>
尾ヶ崎
「あっ。」
東堂
「…いたのか。」
尾ヶ崎
「あ、いえっ、あのっ。立ち聞きするつもりはなかったんですっ。
そのっ、花立さんと楽しそうに話してたからっ。だからその入りそびれてしまって…。」
東堂
「失礼します。」
コツコツコツ<足音 東堂去る>
尾ヶ崎
「あ…。」
尾ヶ崎
(花立さんにはあんなに…昔の彼みたいに話しているのに。)
尾ヶ崎
(私…やっぱり嫌われてるのかな。)
作品名:少女機械人形コーパス 第二幕 作家名:有馬音文