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家に憑くもの

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裕子はレジ袋をぶら下げたままドアを開けると、玄関に入った。玄関には自分の靴にならんで、佳織のローファーが脱いであった。
「あら、買い物に行ってる間に、佳織が帰ってきたのね。」
裕子は独り言を言うと、サンダルを脱いで廊下に上がった。スリッパを履いて廊下を歩き、リビングのドアを開けた。

目の前のソファーに佳織が座っていた。佳織は体を正面に向け、首だけこちらに回して、泣きそうな顔をしていた。
「どうしたの、そんな顔して。」
裕子が声を掛けると、佳織は表情と同じ泣き出しそうな声で答えた。
「おかあさん・・・・なんで玄関に靴があったの・・・・」
裕子は不思議なものを見るような目で佳織を見つめ直した。
「なぜって、サンダルで買い物に行ったからよ。どうしたの、何かあったの。」
裕子は話しながらキッチンに入ろうとして、リビングとキッチンの出入り口に向かった。しかし、裕子は出入り口の手前で竦んだように立ち止まり、驚愕の表情を浮かべて足元を見つめた。フローリングの床には、包丁が突き刺さっていた。それは、たった今突き刺さったように、細かく震えていた。

作品名:家に憑くもの 作家名:sirius2014