儚い夢
入賞の手紙が来てから1ヶ月後が授賞式だった。
私は隅の方で授賞式を見ていた。
佳作は名前を呼ばれるだけだった。
まず、佳作の作品から、作品名と名前を呼ばれていった。
ペンネームは趣味人倶楽部とは違うので、男性にはメールで教えておいた。
彼のも教えてもらっていた。
ただ、どの賞を獲ったかは教えてくれなかった。
授賞式の式次第には、もちろん名前など載っていない。
発表されるまでのお楽しみになっていたようだ。
佳作などの発表のあと、いよいよ3位の発表だった。
今のところ、彼の名前は出てきていない。
それなら、3位以上ってことなのか?
でもそれもすぐにわかった。
その男性の名前は3位で呼ばれた。
壇上に上がって行く姿を見て、私は固まった。
あれは「彼」だ!
間違いなく私の「師匠」だ!!
あんぐり開いた口にしょっぱい物が入ってきた。
知らぬ間に涙が頬を濡らしていた。