蒼刃
唐突に言われたが、篠原も思う所があるらしく、嘆息と共に言った。
「確かに...」
月は、深い闇を裂いて蒼く夜を照らし、帰路を鮮やかに映す。斎藤はぽつりと言った。
「我々が刀であるなら、あのような蒼い刃でありたいな」
篠原は無言で頷く。斎藤の見立てでは、彼は自分と同様の事を誓っているらしい。担い手は別である様だが。
「斎藤さん」
「何かね?」
「また、ご一緒したいものです」
少し考え、斎藤は言った。
「そうだな」
こうして、斎藤一と篠原泰之進は一つの仕事を終える。彼ら蒼刃達の縁は、先々も続いて行くのだが、今宵は此処まで。
二人は蒼月の闇を、ひたひたと去って行った。
了