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横顔

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澄んだ空気を吸い込んだ。私は冬が好きだ。街中が飾り付けられていくのも好きだ。今年はそれを考えるとため息が出る。クリスマスもお正月も予定がないから。急に与えられたたくさんの時間をどう使おうか。
時間ができると困ったことに考える時間が増える。仕事をしている間はまだいいけど、休憩時間や休みの日、あの横顔が浮かんでは消え浮かんでは消えを繰り返していた。病を患った私に効く薬は誰も与えてくれない。自分で処方しなければ治らないのは分かっている。
この気持ちを伝えたい。この気持ちを伝えるために日本にはいい風習がある。

決めた!

来年のバレンタインデーでこの気持ちを伝えよう。
それまでに何回キミに会えるだろう。話ができるだろう。好意が伝わるといいな。伝わる努力はしないとな。意識しすぎて緊張で表情が硬くなってしまわないように。

その日が来るまで何度か話せる機会があった。
少しだけど、他愛もないことを話したりもした。
笑顔も見られた。
もう前に進むだけだ。

今日も家から10分のガソリンスタンドに向かっている。キミに会うためだ。
目的の場所に向かう途中、車の中で何度も深呼吸する。

車から降りた私に気づくのが分かった。近づいてくる。
この気持ち、伝わるといいな。
車をお願いするために、チョコを渡すために、私はキミの元へと踏み出した。

おしまい。
作品名:横顔 作家名:絵莉子