罠 (その2)
「健(たけし)先生、山本有香知ってるでしょう。タバコ臭かったよ」
「どこで、いつ感じたんだ」
「教室に一人でいたから声をかけたら・・・今よ」
「よし行こう」
犬と麻友は3年1組の教室に向かった。
放課後のことで、下校時間まで10分足らずか無かった。
「山本立て」
椅子に座っていた有香に犬はそう言った。
有香は立ち上がりながら何かをあわてて胸に隠した。
「山本、今入れたのはなんだ」
「何も入れてません」
「胸のなかに入れただろう」
「彼氏のレターです」
「いいから出してみろ」
「嫌です」
「お前それは煙草の箱だろう」
犬は背が大きかった。秋田は見えていた。
「違います」
秋田は煙草の箱と解っていた。
「取るぞ」
犬が有香の胸に手を入れたときフラシャーがたかれた。
麻友は駆け足でその場を去った。