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淡墨桜よ、朱となり舞い上がれ!

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 そう、あれは四〇年前のことだった。大輔は京都での学生時代に終止符を打とうとしていた。

 すなわち大学を卒業し、製造会社への入社が決まっていた。
 その初出勤を控えた三月三〇日のことだった。大輔は二歳年下の高瀬紗智子(たかせさちこ)と、この淡墨桜を見に来たのだ。

 振り返ってみれば、大輔の学生生活、それは学生運動に明け暮れる日々だった。 
 しかし、一九六九年一月一九日に東大安田講堂が陥落した。

 あれほどまでに若い血を滾(たぎ)らした闘争も、その封鎖解除によって、憑き物が落ちたように大輔は情熱を失った。そしてその後、大輔に待っていたもの、それはどうしようもない虚脱感。そんな抜け殻のような状況の中で、大輔は紗智子と出逢った。

 紗智子はノンポリの部類だった。
 真っ白なブラウスに、濃紺のデニムが似合う女子学生。そして、いつも笑顔が絶えず、真っ直ぐ前を見つめ、溌剌(はつらつ)と学生時代を謳歌していた。

 挫折の中にあった大輔。そんな紗智子がキラキラと目映(まばゆ)く、新鮮だった。