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淡墨桜よ、朱となり舞い上がれ!

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 大輔と紗智子はこんなやりとりをしながら、学生運動でキャンパスが揺れていた年代へとワープしてしまったようだ。そして、そんなノスタルジックな自分たちだけの世界に陥ってしまっている。

 そんな時に、瑠奈が二人だけの世界を打ち破るように、大輔の所へ飛び込んできた。
「グランパ、見てっ!  見付けたよ!」
 大輔はしゃがみ込んで、走って来る可愛い瑠奈をしっかりと受け止めた。

「瑠奈、何を見付けたの?」
 すると瑠奈は、こぶしに握った小さな手を大輔の目の前に差し出してきた。
「グランパ、ねっねっね、ひらいてみて」
 瑠菜は何かを力一杯に握りしめているようだ。大輔は「ヨーシ!」と言いながら、瑠菜の一つ一つ細い指を優しく開いて行く。

「わあ、ダメだよー」
 瑠奈がじゃれてくる。その後、今度はいきなり、小さなこぶしを大輔の目の前まで持ってくる。そして、ぱっと手の平を開けた。

 その開かれた小さな手の平には・・・・・・、
 なんと!
 二枚の美しい桜の花びらが乗っていた。

 そしてそれらは見事に・・・・・・
  朱に染まっていたのだ。

 これを目にした大輔は、それらを紗智子に示しながら、可愛い瑠奈をぎゅっと抱き締めた。そして、思わず叫んでしまうのだった。

「淡墨桜よ!
 大空へ、花吹雪となり、

 朱となり・・・・・・舞い上がれ!」

                       おわり