幸せのカタチ
ギシ、と小さくベッドが音を立てる。
私はギクッとして、一瞬手を引っ込めたが
もう一度伸ばして、カーテンに触れた。
カーテンを挟んで、渉の手のひらがぶつかる。
私の手より一回り大きい渉の手のひら。
先輩発見、と渉は言ったような気がした。
私は思わず少しだけ噴き出してしまう。
言葉はなかった。
ただ、手のひらから伝わってくる温かさだけが、
お互いの存在を確かめ合っていた。
それだけで充分。
それだけで、「好きだよ」と確かめ合える。
そういえば――――
さっきまで夢を見ていたことを、私は思い出した。
渉と、手をつないでる夢。
ああ、正夢になったんだ、と私は心の中で驚いた。
――――早速渉にメールしよう。
夢が本当になったんだよ、って。
きっと渉も、
カーテンの向こうで笑ってくれるんだろうな――――
作品名:幸せのカタチ 作家名:YOZAKURA NAO