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「キョンシーって知ってるか？　ああ、日本でもちょいと前に流行ってたよな。あ？　なんか名前が可愛い？　ばかやろ、キョンシーは中国語で「倒れた屍体」って意味だぞ、ちっとも可愛くねぇ」

　清の時代に多く語られていたから、中国では比較的新しい妖怪になる。だから清の正装をして、髪は弁髪なのだ。

「日本版だとなんでか三つ編みで顔にお札が貼られてて、ぴょんぴょん跳ねてるお間抜けなイメージが強いけどな。しかし、本当のキョンシーっつうのは物騒な妖怪なんだぞ」

　キョンシーというのは、正しく埋葬されなかった屍体から魂だけが抜け、肉体だけが残って凶暴化したものだ。死臭はするが腐らないのも特徴。欧州のゾンビは腐っているから、そこが違うところだ。
　ぴょんぴょんと跳ねているイメージは、別に愉快な動きで笑いを誘うためではない。死後硬直のせいで関節が曲がらないせいだ。しかもキョンシーになって長い時間がたつと、フェイキョンとなって空を飛べるようになる。

「ああ、そうポケモンの進化みたいに…ってだからそんな可愛いヤツじゃねーっつってんだろ」
「キョンシーはどこにでも出る。俺も一度、遭遇しちまったことがある。その時の話をさせてもらう」