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てっしゅう
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「新・シルバーからの恋」 第七章 再婚

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「お姉さん、今駅に居るの。副島さんを見送ったところです。お話したいことがあるので会いたいんですけど時間いいですか?」
「美雪いいわよ。お昼食べましょうか?」
「ええ、そうしましょう。エリーゼかファミレスのどちらにしましょう?」
「長居するとエリーゼは嫌がるから、ファミレスにしましょう。じゃあ今から行くから先に行って待っていて」
「はい、そうします」

駅から歩いて10分ぐらいのところにファミレスはあった。日曜日の昼時なので少し混んでいたが、二人が座るスペースはまだ残されていた。禁煙席を選んで悦子と座ってランチを注文した。

「美雪って凄いのね。逢ったばかりの副島さんを家に泊めるなんて」
「はい、酔っていたので・・・勢いでそうなってしまいました。あまり覚えてないんです、その・・・どんなことしたのか・・・言い方変ですが」
「そんなに酔っていたの!美雪らしくないわね。それも外で」
「そうですか?副島さんのこと信頼できたから、任せてもいいかなあって・・・寂しかったんだと思います。徹さんとあんなことになってから、すっと1人だったから・・・」
「わかるわよ。私もね徹と別れたときは同じ気持ちだった。夫が優しくしてくれたので、あんなことがあった後なのに、求めてしまったの」
「そうでしたの・・・副島さんが結婚はいつでも構わないって言ってくれましたので、恵子さんと一緒にハワイに行って二人だけで式をしようと思うんです。どう思われますか?」
「素敵じゃない!夫ともそうするといいね、って話していたところなのよ。私たちも行かせてもらうから楽しみだわ」
「本当ですか!嬉しいですね。副島さんを紹介して頂いて本当に良かったです。あの人も仕事に頑張れるって言っていましたからいい出会いだったと思います」
「美雪さん、こんなこと聞かされるのは辛いでしょけど、副島さんの亡くなった奥様の供養も一緒にしないといけないよ。関係ない人って絶対に思わないでね。それが共に生きるって言うことだから」
「はい、解っています。私は妻になる女です。副島さんのすべてを一緒に抱えて暮らす覚悟でいますよ。ご心配には及びませんよ」
「安心した・・・さあ、食べましょう!」


月曜日に出社して、美雪は恵子に副島との交際と結婚のことを話した。

「急なんですが、私結婚する事になったんです」
「えっ?本当?どなたとご縁があったの?」
「はい、平川さんに紹介いただいて・・・土曜日にお会いしてその場で決めたんです」
「あら、早いのね!そんなに素敵な方だったの?」
「ええ、そういう事になりますかしら・・・三友銀行本店の副島さんって言う方なの」
「悦子が世話やいたのね。でも良かったわね、何かとても良いご縁だった気がする。それで式はどうするの?いつ頃を考えているの?」
「その事なんですが、酒井さんの新婚旅行にご一緒させて頂いて、向こうで二人だけの式を挙げようかと考えています。お邪魔でなかったら同窓会で誘われたツアーに参加してもいいですか?」
「嬉しいわ。あなたたちのお式も見られるのよね?是非ご一緒しましょう。悦子たちも来るのよね?もちろん」
「はい、そう言っていましたけど。あのう・・・山下さんも来るのでしょうか?」
「まだ返事は来てないけど、多分来ないと思うわ。あんな事が在ったからからね・・・」
「じゃあ、平川さんご夫婦と、中山さんご夫婦と、後はどなたが来られるのですか?」
「正式にはそれだけ・・・まだ返事待ちなの」
「そうですか。最低この8人で行くわけですね?」
「そうなるわね。向こうのホテルなんだけど台所がついているコンドミニアム式のところってどうかなあって考えているの。美雪さんはどう思われるかしら?」
「それって何組か同じ部屋って言うことになるのですか?」
「大きさ次第ね・・・ツインベッドルームだと二組、トリプルだと三組っていう事になるの」
「嫌じゃないですか?皆さんご夫婦なのに」
「刺激になるわよ、ある意味・・・そんな経験出来ないから、面白いかって考えているのよ。内緒にして・・・向こうで発表するの。どうこの企画?」
「はあ・・・私はいいですけど・・・他の人達はどうでしょうね」
「美雪さんは何でも自信があるのね。感心するわ」

面白いとは思ったが・・・現地で揉めないかと心配ではあった。

副島と逢ってから一週間後の土曜日に美雪は誘われて梅田で待ち合わせをしていた。少し春めいて来たので、新しく買った花柄のワンピースを着て行則を待っていた。

「美雪!ここだよ」
「行則さん、待った?」
「ううん、今来た所・・・あれ、新しく買ったの?それ」
「ええ、解かります?可愛かったから・・・あなたに喜んでもらえるかと思って」
「素敵だよ。そうだ、これからはボクが買ってあげるから、言いなさい。遠慮する事はないよ、そうしてあげたいんだから」
「ありがとう・・・無理しないで。これぐらいのお金はあるのよ。成績いいから高給取りなの、フフフ・・・」
「そうらしいなあ・・・平川から聞いているよ」
「悦子さんが話したのね・・・そうだわ、今夜は夜景が綺麗な場所でお食事しましょうよ・・・ね?構わないでしょ」
「知っているのかい?どこなのそれは」
「難波なの・・・今予約するから待ってて・・・もしもし、柿下と言いますが、二人窓側の席空いていますでしょうか?・・・はい、そうですか・・・じゃあその時間で構いませんのでお願いします」
「どうだった?土曜日だから満席だったんじゃないのか?」
「ええ、8時からなら空くって言われたからそれで予約しましたの・・・一階のロビーでお茶しながら待ってましょうよ。それともお部屋予約して待ちますか?」
「それもいいなあ・・・高層なんだろう?じゃあ景色のいい部屋を予約しようよ」
「ええ、掛けてみるわ・・・もしもし、ダブルのお部屋かデラックスツインのお部屋空いていますか?・・・そうですか、じゃあお願いします。今から30分程で伺います。副島です・・・美雪といいます・・・はい主人と二人です」
「今なんて言ったの?副島美雪って言わなかったかい?」
「だって二人の名前聞かれそうだったから・・・そう言ったの」
「そんな事聞かないと思うよ・・・ホテルだろう?プライベートなことなんだから」
「そんな事ないのよ。守秘義務は在るけど、聞くところあるんですよ」
「そうなの・・・万が一の時に名簿になるからね、宿泊者全員の名前が解かっているに越した事はないよな、確かに」

梅田からタクシーでホテルに向かった。渋滞はしていたが二人だけの空間と時間はむしろもっとゆっくりと走っていて欲しいと願っているようだった。