VALKYRIE
5.THE STAR
「―――あ、あのっ、フィオリア様ですよね!? 私、エリーゼと申します! あのっ、あのっ、どうか私に、あなたのお世話をさせてください!!」
前へと進む道、その背後に転がる屍。
それは己が積み重ねてきた罪の証。
「え? 私がお傍へ志願した理由ですか? それは……少しでもフィオリア様のお役にたてることがあれば、これ以上の幸せはないからです。だって、フィオリア様は私達を、この国を救うために、前線に立たれ戦われています。あなたはこの国の要です。だから……少しでも、あなたのお役にたちたいのです」
血と泥で穢れた心を溶かすのは、彼女からの深い愛。
「あなたが必要なんです」
差し伸べてくれた暖かい想いを素直に受け取れないまま、大切なあの人は逝ってしまった。
「私に、―――人々に、生きる希望を与えてくださる方だから。だからどうか―――」
どんなに強く抱き締めても、腕の中から消え去っていく、あの人の命。
なぜ人は、いつも失った後で大切なものに気づくのだろう。
「これからも、私達の光になってください」
そう、笑っていたエリーゼ。