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フートン

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「ゆう! なんどいったらわかるの! おきなさい。ちこくしちゃうでしょ!」
けさは おかあさんのこえを なんどきいただろう。
だんだん おこったこえになっている。
だけど ふとんの中はあたたかいし うとうとが きもちがいいんだ。

きもちがいい……あれっ さむい。
「もう おかあさんいそがしいのよ!」
ふとんをとられてしまった ゆうは のそのそと きがえをはじめた。
そして ふとんをみながら ゆうは つぶやいた。
(あーあ ふとんはいいなあ がっこうがないし ねているだけでらくだなあ)

「ふふふ いちねんせいは こどもだなあ」
「もうすぐ にねんせいになるのになあ ねぼすけ」
どこからかこえがして ゆうは こえのするほうをみる。
おかしいなあ だれもいない。ゆうは めをこすってみる。
「ここだよ」
「そう、ここだよ」
二人のこえがするのは ふとんのようだ。
「ぼく フー」
「ぼくはトン ぼくたち ふたごなんだ」
「ふたりあわせて フートン」

作品名:フートン 作家名:伊達梁川