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CROSS 第16話 『なぜ、CROSSは潰されないのか?』

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 少佐が初めて我が国にやって来たのは、4年ぐらい前のことだっ
た。来ること自体は知っていたが、詳しい時間はわからず、少佐が
もう来ているということを知ったのは、少佐が車ごと霧の湖に飛び
こんだときだった。最初、車が湖に飛びこんだという情報を受け取
ったとき、どうせ帝国連邦のマイカー族がやったんだろうと思った
が、それが少佐だと知ったとき、私はおもわずお茶を噴き出してし
まった。
 現場に着くと、少佐がびしょぬれの状態でいた。彼が乗っていた
高級車のベンツは、短い生涯を終え、魔法の森の三妖精に引き取ら
れていった。
 例のメイドの邪魔が入り、少佐から詳しい話は聞けなかったが、
おそらく、少佐はレミリア・スカーレット氏と今後についての話で
もしていたと推測する。(第14話)



 その次に少佐が我が国に来たのは昨夜で、公聴会に出席するため
である。ただ、自主的な出席ではないらしく、白玉楼に拘束されて
の出席だった。
 犬走椛氏から、白玉楼が少佐を拘束したということを知ったとき、
私は帝国連邦との国際問題に発展するのではないかと思った。少佐
は帝国連邦の軍人だ。帝国連邦の反幻想共和国勢力が、少佐の「救
出」のためだとして、戦争を起こそうとするかもしれないのだ。我
が国の公式見解では、我が国が帝国連邦と戦争をした場合、間違い
なく我が国が勝つということになっているが、私個人の意見として
は、終わりなき戦争か核戦争になると思う。
 不幸にも、私の予想は的中し、帝国連邦の飛行機が、我が国の空
を航空ショーのように飛び交う事態になってしまった。私は、議事
場にいたが、その場で私は、初めて見る物に遭遇した。
 それは、我が国の異次元間弾道ミサイル『トルーマン』の発射ス
イッチだった。八雲紫氏が厳重に保管していることは知っていたが、
私が現物を見るのは初めてだった。
 公聴会に出席していた少佐が言うように、そのスイッチを押せば、
確かに血みどろの戦争は避けられる。しかし、核戦争により、我が
国と帝国連邦の双方は焼け野原となる。少佐も死ぬだろうが、彼は
地獄で、同じように地獄に落ちてしまった我々を指さし、皮肉たっ
ぷりに、なぜ公聴会が開かれたか、公聴会で何が起きたかについて
喋るだろう。
 私自身もここまでかと感じ、不覚にも職務を忘れて、焦ってしま
った。その場にいた全員が焦っている特別な状況だったので、仕方
がないかもしれないが、これからは気をつけたい。
 そして、公聴会はグダグダな状態で終わった。少佐は誰でも知っ
ている程度のことを喋っただけで議事場を去り、レミリア・スカー
レット氏は証拠が無いの一点張りだった。誰がどうみても、公聴会
を開いた博霊霊夢氏の敗北だった。公聴会が終わると、私はすぐに
議事場を後にした。博霊霊夢氏に八つ当たりされないようにするた
めだ。
 私が議事堂の廊下を早歩きで歩いていたとき、議事場から博霊霊
夢氏の怒声が聞こえてきた。(第15話)



 そして、CROSSは我が国を去っていった。これからも、CR
OSSの名を聞く機会はいくらでもあることだろう。



(この特集記事は、射命丸文が担当しました。)