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表と裏の狭間には 最終話―戻れない日常(前編)―

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「ふん、まあいいわ。明日、白黒はっきりつけてやるわ。」
「望むところですわ。」
ゆりと言い合いを終えると、桜沢美雪は、丁度来た電車に向かって歩みだした。
「おい、いいのか!?」
「流石に人が多すぎるわ。それより、早く拠点に戻りましょう。ちょっと問題が発生したわ。」
それだけ言うと、ゆりもホームに背を向けて、改札の方へ歩き出した。
それに煌が、次いで輝と耀が、そして理子と礼慈が続く。
俺は、今すぐにでもあの女を殺してやりたかった。だが、ゆりの命令に背くのは得策ではないと、今までの経験が告げている。
階段を上るゆりたちに、俺も続いた。

「煌。戻ったら、拠点にいる全員を大会議室に集めなさい。」
「全員か?」
「ええ。それと、他の施設にいる人員、全員に召集をかけなさい。散らばってる連中にも、最寄の施設にすぐ向かうように命令しなさい。テレビ会議をするわ。」
「それも、全員だな?」
「ええ。あたしは、他の支部長に話があるから、それが終わり次第行くわ。輝、耀。」
「なんすか?」
「大会議室から、テレビ電話を繋いで頂戴。関東支部の施設全てにね。」
「分かったの。」
「礼慈。」
「……何?」
「あなたは、拠点の武器庫の在庫をチェックして。」
「……分かった。」
「理子。」
「はいさ。」
「あなたは、大会議室の整備をお願い。指揮を執って、集まった人間片っ端から使って準備を整えて。」
「了解。」
「紫苑。」
「何だ?」
「あたしと来て。今日は、あんたに補佐役を命じるわ。」
「………俺に?」
「ええ。……色々と、打ち合わせも必要だから。」
「分かった。」
「今日は、家に早く戻れるといいわね。」
「まだ六時過ぎだ。大丈夫だろ。」
「そうね。」
「ま、仕事はさっさと終わらせないとな。」
「じゃ、始めましょうか。」
「ああ。」

「さあ、まずは戦いの準備をするわよ。」


続く