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国は大変な混乱に陥り、三人兄妹は離れ離れになってしまいました。
そして、三人のお父さんとお母さんは、ある大きな国の兵士に、暗殺されてしまいました。』

「これはオレたちだな。」
「そうなの。」
「僕らの実家は、昔『星砂グループ』って呼ばれた、一大財閥だったんすよ。」
「ああ、それは聞いたことがある。」
「つまり、こっちの『大きな国』ってのは、オレたちの実家ってわけだ。」
「そして起こったのが、『1.15の悪夢』なの……。」
「確か、日本の地方都市を直撃した近年最大級の大震災だったか……。それが原因で星砂グループは幹部陣が軒並み亡くなって、それで倒産したんだって言ってたな。」
「つまりそれが、『大きな地震』であり、『大変な混乱』ってワケっすよ。」
「そして、その混乱のせいで、私たち兄妹は『離れ離れ』にされてしまったの。」
「だが、実はこのとき、両親は生きていた。だが、『ある大きな国の兵士に、暗殺されてしまいました。』前々から星砂グループを目の敵にしていた霧崎組によって、暗殺された。」

『あるところに、二つの小さな国がありました。
二つの国はとっても仲良し、その国の王子様と王女様もとっても仲良しでした。
みんな笑顔で、みんな幸せに暮らしている二つの国でした。
ところが、ある日突然、ある大きな国が攻めてきました。
小さな二つの国は、なす術もなく、あっという間に滅ぼされてしまいました。
でも、王子様と王女様は、二人で逃げました。
手を繋いでどこまでも、どこまでも。』

「これはわっちと礼慈だね。」
「……ああ。」
「あれ？お前ら幼馴染だったのか？」
「まあね。ま、『二つの小さな国』っていうのは、わっちの家と礼慈の家だと思ってくれればいいよ。」
「……まあ、仲はよかった。」
「『王女様』ってのがわっちで、『王子様』ってのが礼慈だね。こんな暗いのが王子様……ぶふっ！」
「……うるさい。」
「ごめんごめん。で、本当に突然だったんだけど、『ある日突然、ある大きな国が攻めてきました。』わっちらの親は、いわゆる暴対に所属していてね。そのせいか、連中から恨まれていたんだよ。」
「……ぼくと理子は、寸でのところで逃げ出せた。それで、ぼくと理子は、どうにか生き残れた。」

『別々の国から逃げてきた六人は、やがて運命の出会いを果たします。
出合った六人は、大きな国への復讐を決意しました。』

「あたしは、本当に運命だと思ったわ。当時あたしは、一緒に戦ってくれる人を探していたのよ。そしたら、あつらえたかのように出て来るんだもの。あいつらに恨みを持っている人が。」
「最初はわっちと礼慈だったね。」
「……ああ。」
「次がオレだ。」
「で、煌に呼ばれた僕と、」
「私が仲間になったの。」

『そして、六人は、ある国の仲間になりました。
その国は、誰も知らない、秘密の国でした。
その国は、いろんな悪い国をやっつけている国でした。』

「これが、アークってわけか。」
「ええ。そのまんまでしょう？」

『六人は頑張って、その国の偉い人になりました。
そして、六人はもっと頑張って、家を買いました。
昔の家ほどではありませんが、とても大きな家でした。
六人は、家族になりました。
そして、六人には、秘密の国のことを知らない、普通のお友達も出来ました。
六人の家は、秘密の国の外にあったのです。
やがて、そのお友達と、一緒の家に住むことになりました。
六人家族は、七人家族になりました。』

「偉い人？」
「まあ、ここは少し事実と異なるわね。まあ、目をかけられていたのは確かよ。そして、あたしたちは一つの家を買った。今、住んでいる家よ。」
「そうだったのか……。」
「この頃は凄かったわね……。無茶ばっかりやって。」
「そうだなぁ。よくもまあ、今生きてるもんだよ。」
「煌なんか、力にモノ言わせて滅茶苦茶してたっすからね。」
「一番死んでそうだったの。」
「ま、耀は耀で、この頃が一番ピークだったっすね。『お姉様』。」
「うわ、それ思い出したくないわね……。」
「一番ヤバかった時、どこまでされたんだっけ？」
「だから、蒸し返さないでよ……。」
「えっと、確か……。」
「待て、話がだんだんアブナイ方向へ向かってないか？」
「ああ、そうね……。」
「にしても、お前ら楽しそうだよな。」
「ええ。当時のことは……言葉に、出来ないもの。」
「そうなのか。」
「ええ。今が、言葉にして表せないほど楽しいのと、同じにね。」
「そして、この七人目の家族っていうのが、蓮華なの。」
「ああ、それは分かる。」

『あるところに、一つの国がありました。
その国は豊かな国でした。
その国の王子様と王女様は、とっても仲良しの兄妹でした。
ところが、ある日突然、王様とお妃様は、事故で帰らぬ人となりました。
すると大変なことに、国の中の悪い人たちが、国を自分たちのものにしようとして、悪いことを始めました。
それが嫌だった王子様と王女様は、国を捨てて、逃げました。』

「おい、ちょっと待て。これって………。」
「あなたね。」
「最初読んだ時は気付かなかった……。」
「ま、紫苑はただの御伽噺だと思って読んでたんだから仕方ないわね。でも、こうやって順序正しく辿っていけば、分かるでしょう？」
「ああ。これは、俺と、雫だ。『豊かな国』ってのは、俺の実家だ。そして、『王様とお妃様』が両親だ……。事故死ってところまでそっくりだ……。」

『やがて、七人家族のそばに、とても仲のいい兄妹がやってきました。
秘密の国の六人は特に気にかけたりはしていなかったのですが、ある日、大変なことがおこりました。
仲良し兄妹のうち、お兄さんのほうに、秘密の国があることを知られてしまったのです。
この国があることが世界中に知られたら、大変なことになります。
どうしようと六人は考えました。
そして、そのお兄さんを仲間にしようと考えたのです。
幸いなことに、お兄さんは快く仲間になってくれました。』

「異議あり！！俺がいつ『快く仲間に』なったんだよ！？」
「えー？だって、あっさり承諾してくれたじゃないの。」
「あっさり承諾はしたが！した状況がおかしいだろ！！銃を突きつけられて承諾する以外にどうしろと！？」
「まあまあ、これはあくまで『童話』だ。そうカッカするな。」

『そして、秘密の国を知る六人は、七人になりました。

それからしばらく後、その兄妹も一緒に住むことになりました。
七人家族は、九人家族になりました。
九人になった家族はとっても賑やか、みんな仲良しで、笑顔が絶えない家族になりました。』

「これが、『今』だな。」
「ああ……。ゆりと、煌と、輝と、耀と、理子と、礼慈と、蓮華と、俺と、雫。九人、だな。」

『それでも、最初の六人は諦めていませんでした。

大きな国への復讐は、今や六人の夢となっていたのです。

その夢が叶うかどうかは、誰にも分かりません………。』

「そうか、お前らは……。」
「ええ。あたしたちの目的は、霧崎平志と、霧崎組に、復讐することよ。」
「まだ、諦めて、いないんだな。」
「当然よ。それに、紫苑。」
「なんだ？」
「あなたにも、目的、出来たんでしょう？」
「…………ああ。」