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マネジ!

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■ツンマネ

 毎度毎度、社員その②の寝坊癖には呆れかえる。今日も時間ギリ、ってか、車じゃないと完璧遅刻。
「あっ!お昼忘れてきたー」
取りに戻る時間なんてあるわけがない。もっと言うと、途中コンビニに寄る余裕すらない。長い信号に引っかかったらやばいって状況である。
「弁当作ってくるとか、そんな優しさはないの?」
「それだけ尽くして欲しかったら、おれを惚れさせてみろ」
「好みじゃないから無理」
「おれも」
次の信号を右に曲がる……。慣れた道で良かった。この時間でいつもと違う営業所にヘルプとかだったりしたら完全アウトだよ。
「でもまぁ、朝飯くらいは買ってきてやる」
おれは後部座席を指差した。もとは助手席に置いてあったのだけれども、社員その②が乗ったとき、邪魔だと後部座席に吹っ飛ばしたビニール袋がそこにはある。中身はコンビニのサンドイッチ。
「あ、朝はしっかり食ってきた」
「十分以上遅刻しといて、ぶち殺すぞお前!!」
開店には間に合うんだからいーじゃーん、と言ったあと、バリッという小気味良い音が響いた。バカお前、それはおれの菓子パンだ。ってか朝食ったんだろーが。昼に取っとけよ!
「あ、シールくれ。パン皿欲しい」
「ん」


■最強武器(男編)

 じりじりと太陽が照りつける中、おれはひたすらに社員その②を待っていた。真夏だって、基本的にクーラーの効いた車か事務所にしかいないおれは、素材こそ夏仕様なものの、冬と殆ど変わらない装いである。ワイシャツネクタイはマネージャーの基本装備。むしろ、最強武器。
「あー暑苦しい。見るからに」
「倒置法使うな」
社員その②は学のない馬鹿なので、次の瞬間「なにそれ」と顔を更にしかめた。
「もっとカジュアルでもいーんじゃないの?」
そう言う社員その②は、チューブトップにおみ足を存分に晒した超ミニのデニムスカート。キャバ嬢の出勤か。そんなだから、いかがわしい店だと間違われるんだよ!確かに、涼しげではあるけれど!
「じゃあおれが極彩色のアロハを着てきたらどうする?」
「趣味を疑う」


■ガールズトークっすか

「マネージャーの好みってどんな?」
「可愛い子」
「うわ、面食いか」
「ちげーよ」
 おれ曰く。おんなのこはすべからく可愛い。ただし、かわいくなろうと努力している子に限る。黄金率だとかなんだとかには興味はないし、そもそも良く知らない。そういえば、学生時代からおれは「隣のクラスの誰々が可愛い」という話題についていけないタイプだった。
「骨格とか顔のパーツとかが、自分の望む通りじゃなくてもしゃーないじゃん。そう生まれたんだから。そんなん気にするより、お洒落に気ぃ使ってたりするほうが断然いい」
「うわ、そーゆーの地味にキツイ。妥協を許さないって感じ」
「そーゆーわけじゃないけど……」
「あ!じゃあ、社員その①もかわいんだ?」
「あー社員その①はキッツいなー」
「これだから男は!」
とか言って、社員その②も笑ってんじゃん。




作品名:マネジ! 作家名:塩出 快