「秋の恋」
「バサバサ!」
耳元で風切り音がしたのと、「危ない!」と声がし、体が後ろへ倒されるのが一緒だった。
夏美は視界が突然海から空へ変わり、唖然としていた。
食べようと思って手に持っていたおにぎりは、倒された拍子に手から離れ、江ノ島の見える広い砂浜へ転がって行った。
傍らに上半身裸の男がいる。片腕が夏美の肩に回され、なにかプロレスの技をかけられたような感じで二人で倒れているのだ。
生まれて28年、海でこんな目に遭った事などない。
「ちょっと、何してんのよ?重いんだけど?!」上を向いたまま、言葉をかけた。
「はぁ?重い?ばか、何言ってんだ。危なかったんだぞ!」
片腕で体を起こした男が、上から夏美を見て怒っていた。
「砂浜へ下りてくる時、看板を見てなかったのか?まったく不注意なんだから」
夏美も腕がどけられ、やっと起き上がった。
手で砂を払いながら「看板?なにそれ?そんなのあった?」と投げやりに答えた。
「これだから、まったく困るんだよな。ニュースでもやっているんだぞ?聞いたことないのか?」
「だからぁ、一体何なのよ。わかるように説明してよ、もう!お昼ご飯も砂だらけじゃん」
目だけで転がったおにぎりを指した。
耳元で風切り音がしたのと、「危ない!」と声がし、体が後ろへ倒されるのが一緒だった。
夏美は視界が突然海から空へ変わり、唖然としていた。
食べようと思って手に持っていたおにぎりは、倒された拍子に手から離れ、江ノ島の見える広い砂浜へ転がって行った。
傍らに上半身裸の男がいる。片腕が夏美の肩に回され、なにかプロレスの技をかけられたような感じで二人で倒れているのだ。
生まれて28年、海でこんな目に遭った事などない。
「ちょっと、何してんのよ?重いんだけど?!」上を向いたまま、言葉をかけた。
「はぁ?重い?ばか、何言ってんだ。危なかったんだぞ!」
片腕で体を起こした男が、上から夏美を見て怒っていた。
「砂浜へ下りてくる時、看板を見てなかったのか?まったく不注意なんだから」
夏美も腕がどけられ、やっと起き上がった。
手で砂を払いながら「看板?なにそれ?そんなのあった?」と投げやりに答えた。
「これだから、まったく困るんだよな。ニュースでもやっているんだぞ?聞いたことないのか?」
「だからぁ、一体何なのよ。わかるように説明してよ、もう!お昼ご飯も砂だらけじゃん」
目だけで転がったおにぎりを指した。