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4.好き(11/9) :似てない双子


「あっもーだめっガマンできないっ!」
「あ?」
「ごめんニヒツちゃん!好き!」
「…………はぁ?」
 あたしの突然の告白に、双子の弟のニヒツちゃんは、あからさまに「意味が分からない」という顔をした。
「でもこれでもあたしなりに頑張ったんだからねっ!」
 弟は読んでいた本を閉じると、こちらに向き直ってあたしの目を見た。
「…いや、意味分かんないし胸張られても。一からちゃんと説明しろよ」
「だってニヒツちゃんが言ったんだよ?」
「…なにを?」
「ねーちゃんの『好き』は薄っぺらい、って」
「あぁ…」
 それだけでニヒツちゃんには何のことか伝わったらしい。
 まず納得して、次に冷たい目であたしを見た。
「…なによ」
「まず根本的なものから訂正するが、俺は『ねーちゃん』なんて呼ばないからな」
「ちっちゃい頃は呼んでたくせに!」
「それはどうでもいいから。でだな。俺は『うすっぺらい』じゃなくて『重みがない』って言ったの」
「同じじゃん」
「違うよ。あとな、いくら『好き』を言うのを我慢しても、姉貴が言う限りは厚みも重みも増さないから」
「えっ!?じゃあどうすればいいのよ!!」
 あたしの叫びには興味がないかのように、ニヒツちゃんは再び本を開く。
「…………」
 そのままじっと見つめる攻撃を続けていたら、彼はため息を付いて再び本を閉じた。
「別にどうもしなくていいから。好きなだけ『好き』って言ってればいいじゃん」
「え…?」
「重みなんかなくていいよ。姉貴がブラコンなのは周知の事実じゃん。いまさら重みが出ようが厚みが出ようが変わんないし。だいたいさ、昨日その話してからまだ一日も経ってないじゃん。我慢できないんだろ? じゃあ無理に我慢しなくていいよ。それに…」
「それに…なに?」
「…べつに、言われるのが嫌いってわけじゃないから」
「……!!」
「あ、ちょっとまったいまのなs」
「もう好き!大好き!さすがあたしの弟!ニヒツちゃん大好き!」
「あーもーうるさいな!知ってるよ!本読めないから抱きつくな!」
 あたしを引き剥がそうと慌てるニヒツちゃんの顔がなんだか赤く見えたのは、あたしの勘違いなんかじゃないはずだ。