小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

365 Themes *12/19~停滞中

INDEX|30ページ/45ページ|

次のページ前のページ
 

29.息も絶え絶え(12/4) :先生


 ボクの高性能な耳がか細いノックの音をキャッチした。
 玄関の戸を開けてみると、そこにはずたぼろの先生がぶっ倒れていた。
「先生!どーしたのだ?」
 うつぶせに倒れている先生が、顔だけ上げてこちらを見る。
「…もうちょっと早く出てきてくれよ…」
 …いや、違う。
「あんた、もう一人の方なのだ?」
「オレがどっちかとかどうでもいいじゃん…わりと緊急事態なんだけど見てわからん…?」
 口元には吐血の跡、身体中に擦り傷があり、服はあちこち破けて、地面には足を引きずってきた跡もある。つまり…
「サイボーグになりにきたのだ?」
「ちげぇよ!!…ちょ、頼むから無駄な体力使わせないでくれるかな…」
 先生が突然叫ぶとゲホゲホと激しく咳き込んだ。
「じゃあ何をしたらいいのだ?」
「オレもう少ししたら先生の方と変わるからさ…病院連れてって…」
「自分で行ったらいいのだ」
「そんなことしたら不具合出るだろ…無理矢理補修はするけどあんまりやってるとガタがくるんだよ…だからあんたが森でオレを見つけて病院に連れてったことにしといてほしいわけ…わかる…?」
「…よくわかんないけど、とりあえず先生を病院に連れていけばいいのだ?」
「そゆこと、じゃよろしく…」
 言い終えてガクリと落ちる頭を慌てて支えると、しばらくしてぴくりと身体が動いた。
「……あれ……えーちゃん……?」
 今度こそ先生だ。心なしか、さっきよりも顔色が悪く、息も絶え絶えといった感じになっている気がする。
「……なんで……?」
「もー、先生ってばあんな森の中で何やってたのだ? びっくりして慌てて連れて帰ってきちゃったのだ!」
「あ……そうなんだ……」
「これから病院に連れて行ってあげるのだ。だから先生は大船に乗ったつもりでいてほしいのだよ?」
「わかった……ありがと……」
 先生が安心した表情で再び目を閉じたのを見届けると、ボクは先生を担ぎ上げ、近くの病院目指して一目散に走り始めるのだった。