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表と裏の狭間には 二十話―内乱勃発―

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『全て?そんなことして大丈夫なのか?しかも、疑いがあるだけで?』
『そうよ。やりなさい。』
『だが………。』
『もし誤情報だったら、あたしが後で直々に謝罪するわ。』
『ああ………。』
『そして、そいつらを全員捕縛させなさい。』
『ああ、分かった。』

「次いで命令する!関東支部長は現時点で以て行方不明だ!よって、楓ゆりの命令により、関東支部長代理を設置するものとする!全員の端末に命令書の一部を転送するので、それをチェックされたし!」

『次に、全体の指揮を執らせる支部長代理を設置しなさい。これは、公的には楓班全員ということにしておくけど………、実際の指揮者は、』

「紫苑、これはお前がやれ。」
「え?俺!?」
「紫苑にやらせるのかい?」
「ゆりの命令だ。」

『それで?どうして紫苑なんだ?』
『この作戦を成功させるためには、まず相手の裏を掻く必要があるわ。だから、まずは総指揮者の段階で裏を掻く。紫苑はたった二年前に入隊してきた新人よ。完全にノーマークだわ。』
『だが、大丈夫なのか?』
『大丈夫よ。紫苑に指揮を執らせるのも、作戦の一環だから。』

「次いで命令する!総員最寄の施設に急行し、防備を固めろ!詳細は追って連絡する!」

『そして、全ての施設の防備を固めなさい。敵は、恐らくは交戦に踏み切るはずよ。』

「指示はとりあえず以上だ!全員、即座に行動されたし!」
オレは、そこまで言い切ってから、回線を切った。
それを待っていたかのように、班員が詰め寄る。
「どういうことっすか!」
「……詳細は?」
「今説明する。とりあえず座れ。」
オレは、一旦全員を席に着かせる。
「オレは、年が変わった時点でゆりから有事の際の行動を指示されていた。これから、お前らにもそれを説明する。とりあえず、理子、礼慈!」
「なに?」
「……。」
「理子は千葉、礼慈は群馬の事務所に向かってくれ。その二つは絶対に落とすなって指令だ。指揮を頼む。」
「了解。」
「……了解。」
「追加で命令だ。死ぬなよ。落とすなとは言っていたが、死んでも守れとは言われていない。危なくなったら即逃げろ。いいな。」
「それも了解。」
「……いわれるまでもない。」
「次に、ゆりを救出するメンバーだが、これは俺と、輝と、耀だ。」
「やってやるっすよ。」
「私もなの。」
「俺は?」
「紫苑はさっき言った通り、全体の総指揮を執れ。出来るな?」
「……ああ。」
「それと紫苑、もう一つ指示が飛んできてる。」
「何?」

「さて、予想通り承諾されませんでしたわね。」
「承諾されるとでも思ってたのかしら?」
「端っから思っておりませんわ。それに、承諾されなかったら、力ずくて承諾させるまでですわ。」
「その端末………?」
「アークのものを手本にわたくしたちのものを自作いたしましたの。一応、お抱えの工場などもありましてよ?まあそれはともかく。」
「まさか………!」
「そのまさかですわ。全員に通達、『開戦』ですわ。」
『了解。』
「これで、全国の同志が、アークの拠点を攻撃してくれるはずですわ。さて、何時間保つか、賭けませんこと?」
「別にいいわ。それに、そんな指示を出したら最後、皆が動き出すわよ。あたしが救出されたら、あんたたちの作戦は成立しなくなるんじゃない?」
「それも問題ありませんわ。救出しに来るのは、どうせ星砂兄妹なのでしょう?彼らには監視をつけてありますの。ここに近づいてくれば、即座に移動しますわ。」

「おい、西側!仕事してんのかよ!?破られたら承知しねぇぞ!!」
『こっちだって仕事しとるわ!敵の物量がふざけてんだから仕方ねぇだろ!!それ以前に攻めるほうと守るほうじゃ、気力の面で守るほうが不利なのは自明の利だろうが!!』
「ああもう面倒くせぇ!爆弾とショットガンの使用を許可!ただし誤射は控えろ!絶対安全な時のみ使え!」
『無理だ!混戦になったら全部巻き込んじまう!つか爆弾って屋内で使って問題ない威力だったか!?』
「設備への被害は考慮するな!全軍二階へ後退!下がりざまに階下に爆弾を放り込め!」
『遅れた奴は!?』
「遅れさせんな馬鹿!一気に下がって一気に投げ込め!!制服が同じだからって紛れ込まれるなよ!」
『東側、二階へ後退する!』
「許可!安全を確認した後、爆弾とショットガンを効果的に使用しろ!」
『了解!』
「………おい、煌、僕たちも出たほうが良くないっすか?」
「いや、俺たちは絶対に部屋を出るなって指示だ。」
「どうしてっすか?」
「ええと……『あんたちに三人には、敵のマークが付いてるから外に出るな』ってことだ。」
「ああ、それで紫苑を出したんすね。」
「ああ、そうだ。」
「でも、せめて私と兄様だけでも出ないと、押し切られそうなの。やっぱり西側と東側の指揮官を置いたほうが……。」
「いや、俺もそう言ったんだけどなぁ……。」
『あんたたちが出ると、あたしの所在地が移動してしまう可能性があるわ。』
ということで、絶対に部屋から出るなと厳命されている。
「千葉と群馬も気になるの。」
「こっちでこれなら、地方の事務所はなぁ……。」
とりあえず理子の端末に無線を繋ぐ。
『あんた暇なのかい!?正直こっちは無線やってる時間も惜しいんだけど!?』
「ああ、すまん。一応報告を貰おうと思ってな。」
『こっちは戦場だよ本当に!!わっちが到着してから急ピッチで準備したけど、最初の十分でかなり持っていかれた!もしかしたら陥落されるかもしれないよ!?』
「ゆりからの指示は覚えてるよな?」
『それは勿論だよ。』
「俺からも追加で命令だ。死ぬなよ。」
『勿論だよ。わっちはまだ……いや、何でもない!』
何か焦ったように言うと、無線は向こうから切られてしまった。
「理子………墓穴を掘りかけてるの……。」
次は礼慈だ。
「よう、そっちはどうだ?」
『……正直、辛い。』
「だろうなぁ。理子のほうもそう言っていたぞ。」
『……理子は無事なのか!?』
「ああ、無事だ。そっちはどうだ?」
『……二度訊かないでもいい。一応まだ持ちこたえている。だが、やはり準備不足は否めない。』
「そうか。まあ、生きろよ。場合によっては放棄しても構わん。」
『……了解。』
そこで通信は切れた。
「やっぱ、準備不足だな……。」
「この拠点でもダメージはデカイっすからねぇ……。」
「煌!やっぱり西側が甘いの!」
「チッ……やっぱり西に何か混じってるのか……?おい、東側の部隊から二つくらい西へ増援に向かえ!」
『了解。』
「ああクソ……ゆりの命令でさえなけりゃ……。」
「でも、私たちはここで指揮を執るしかないの………。」
「紫苑の野郎……本気で頼むぞ……。」

全国の施設で、激しい戦闘が始まったらしい。
現在時刻は夜の九時といったところか。
『かなりヤバイな。所々落ち始めるところも出てる。』
「そんなに酷いのか?」
『ああ。こっちも今大変だぞ。関東支部のほうは先に防備を固めておいたからまだいいが、他の支部は完全に不意打ちだからな。初手で大きく遅れをとって、戦力を大幅に削られているみたいだ。この分だと、上が独立を承認するのも時間の問題だな。』
「そう………。」
『そっちはどうだ?』
「うん、もうすぐ着くよ。」