傷
北野は事前に予約しておいた、札幌駅前のレストランに青田を車で案内した。
「土地の物をと思いましたが、フランス料理にしましたわ」
「嬉しいです」
「喜んでいただき良かったわ」
「どうぞ、乾杯しましょう」
ボーイがグラスに赤ワインを注いだ。
「いいお車ですな」
「乗り物にはお金をかけますわ」
「小型飛行機の免許もお持ちなのですね」
「良くお調べの事、私の体のほくろの数まで調べてあるのかしら」
「それはまだです。多分輝きすぎて目が眩んでしまうでしょうから、数は数えられないでしょう」
「数字にお強い先生が、一桁の数が数えられないなんておかしいわ」
「この年になっても妻の体を見ただけですから、北野さんの体を見たら失神しますよ」