傷
青田は今まで自分が生きて行くのが精いっぱいであり、母の幸せですら思うようにはいかなかった。
経済的には楽にはなったのだろうが、母の心配は青田が身を固める事であった。
青田は故郷に帰り、山崎を懐かしく感じていた。
「掛け金はどのくらいまでいいかしら」
「奮発して5000円まで」
「仕事でいろいろの会社に行くから、青田君、ごめんなさい、君づけして。宣伝してくるわ」
「宜しく頼むよ」
それから3日して、海老原は保険のプランを持ってきた。
青田がプラン通り契約をすると、海老原は3社を紹介してくれた。
その後も海老原は次々と会社を紹介してくれた。
青田が開拓した数よりも海老原の紹介の方が多くなっていた。