蝶
蝶は飛び続ける
宏と真理恵の子は男の子であった。
5歳になった。
その年に由美は帰国した。由美は帰国後、絵と同時にファッション界にも頭角を現していた。
絵は定期的に宏の所に送られてきた。しかしファッションの事はよく知らなかったのである。
「宏さん、以前刺繍の事話したこと有るわね」
「バイトしてたこと」
「刺繍の出来る方紹介して欲しいの」
「知ってる人はいるが・・・」
「今度のデザインどうしても、刺繍が入れたいの」
宏は幸子を紹介したらと考えた。
幸子にも愛の誕生日以来会ってない。
毎月10万円の金は銀行に振り込んではいるが、こうして幸子の事を思い出してみると、愛に対して親としての愛情がないことに薄情に馴れる自分を淋しく思った。
いや違う、愛がパパと呼ぶ人のためなのだ。