蝶
「愛は本当に清水をパパと思っているのか?」
「それはないわよ」
「幸子おまえはどうなんだ」
「何を言ってるんです」
「愛が懐いているんだ」
「嫉妬」
宏は幸子の言葉に確かに嫉妬しているのだと思った。
愛が自分の子だとはいえ、今まで何もしてこなかった。
清水の方が幸子や愛に愛情を持って、接していたのは確かだ。
宏は愛や幸子はどこにも逃げては行かないものと信じていたのだ。
ケーキの上に10本のロウソクを立てた。
1本に火をつけ1歳の愛を思い出す
2本、3本、・・・・10本
吹き消す者はいない。
火が消えた時、宏は幸子の顔を見た。