蝶
結婚
宏は病気がちな母を東京に呼ぶことにした。
アパート探しを店員の水田真理恵に頼んだ。
水田は自分の隣の部屋が空いているがどうかと教えてくれた。
宏は当分店の二階に泊らなくてはならないので、水田の隣なら何かと都合が良いと考えた。
早速その話を進めて、一ヶ月後には宏の母は転居してきた。
呼び寄せたとは言え、別居であり、初めのうちは毎日顔を出していたが、仕事が遅くなると、面倒になっていた。
まだ東京に馴れないそんな母に、水田は気を使ってくれていた。
宏が2日ぶりに母の所に行くと、水田と母が夕食を食べていた。
「丁度よっかった」
水田は自分の家のように宏の食事を手早く用意してくれた。
「母が世話になっているのに自分まで、ありがとう」
「お給料上げてもらうから・・」
水田は笑いながら言った。