手紙が告げた、僕の未来は。
ずっと待ちながらも、半ば諦めていた、いとこからの返事の手紙。読み終えた僕はとても爽やかに、心があたたかく満たされていることに気付く。それはこれから僕を待ち受ける毎日、やがて訪れる未来のもう一つの呼び方、考え方が、僕の心にはっきりと刻まれたという、紛れもない証拠だった。
僕は、仕事を辞めてからはしばらく虚無感と開放感が入り混じった、抜け殻のような日々を過ごしてきてしまっていた。でも、毎日毎日、全てのきっかけは日々の暮らしの中に沢山ある。ただその一歩を、無理なく踏み出し続ければいい、たったそれだけのことなのに。
そうさ。新しい朝がくるたび、また、僕は生まれ変わるんだ。
明日は、ハローワークにでも行ってみようか。ここのところ、僕の連絡不足で気まずくなっていた彼女。次に会う約束をとりつけるメールでも、そのあとに送ってみるか。
僕はそんなことを考えながら大きく深呼吸をすると、そのままシャワーをあびに一階へと降りかける。
しかし、ふと振り返って、読み終えたテーブルの上の手紙を一瞥した。
「僕の未来は、どこにある?」
最後にようちゃんが伝えてくれた言葉の意味を、もう一度だけ、確かめたくて。
視線に気付いた手紙は、不安そうな僕の表情を見ると、それがさも当然のことだとばかりにあきれた様子で、心の中からはっきりと、再び僕に告げた。
「お前の未来は、無限に広がっている」
(了)
作品名:手紙が告げた、僕の未来は。 作家名:セブンスター