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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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みどり色のかぼちゃランプ

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<みどり色のかぼちゃランプ>

 アメリカやカナダでは毎年、十月最後の日のハロウィンのお祭りが近付くと、子供達がその日に着る衣装とか、パーティーの飾りつけなどにわくわくと胸を躍らせる、そんな季節がやって来ます。
 例のオレンジ色のかぼちゃランプや楽しくてちょっとだけ怖いオバケ達が商店街のウィンドウに並び始め、華やかさが段々と町じゅうに広がって行くのです。
 ところでアメリカの、とある小さな田舎町では、オレンジ色のかぼちゃランプと並んで、深いみどり色をしたジャック・オ・ランタン(かぼちゃランプの事)が窓辺に飾られるのを知っているでしょうか?
 これはそのみどりのかぼちゃランプにまつわるお話しです――。

 十才になったばかりのジミーは町の外れにお母さんのナオミと二人で暮していました。
 お父さんのジャックは腕の良い職人でしたが、お酒が大好きで、三年前の冬の夜、お酒に酔って自動車事故をおこして亡くなってしまったのでした。
 それからナオミお母さんがレストランで働き始めたのですが、あまりお金は貰えず、ジミーの家はとても貧しい暮らしをしていたのです。

「ねえママ、もうすぐハロウィンでしょ。去年はだめだったけど、今年はちゃんと飾りつけもしてパーティーできるよね」
 ジミーは夕食の片付けをしているお母さんの背中に抱きついてナオミに尋ねました。
 するとナオミは片付けの手を止めてジミーの方を向いてしゃがみました。
「ジミー、ごめんなさい。今年もパーティーは出来そうにないの。わかるでしょ? 古くなったシーツでオバケの衣装を作ってあげるからそれで我慢して頂戴」
「え、でもマイケルやウィルの家ではもう大きなかぼちゃランプを作って窓辺に飾ってるんだよ。今日も学校の帰りに見せられて――」
「ジミー本当にごめんなさい。でもダメなのよ。うちには食べもしない大きなかぼちゃを買うお金は無いの」
 ジミーは何か言いたそうでしたが、お母さんの悲しそうな顔を見ると何も言えませんでした。