非色──いろにあらず──
思い出
影ふみながら歩いた小径も
すずかけの木の下の指切りも
ふたりだけの朝の思い出
あれは愛だったのでしょうか
かなうことのない願いなのに
忘れられません
いつか二人出会った あの日の丘に
さよならだけ言い残して
通り過ぎたあなた
あの日のようにさわやかな朝が
いつもあなたのためにあるように
祈っているわたしなのです
あれは夢だったのでしょうか
とげることのない想いなのに
忘れられません
いつかふたり遊んだ あの砂浜に
名前だけを書き残して
忘れられたわたし
作品名:非色──いろにあらず── 作家名:せき あゆみ