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緑の季節【第一部】

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彼の名は、真壁 覚士(まかべ さとし)。今年34歳。
彼が向かう先は、6年前まで幸せの中に過ごしていた妻、里実(さとみ)が永眠る場所。

今日は、朝の元気なお天気お姉さんの予報では、
「今、少し雲が広がっていますが、日中にかけて晴れてきます。
雨の心配はなさそうです」と言っていた。
空を見上げながら(ほんとかな?相変わらずわかりにくい予報だな)
覚士はそんな天気予報を思い出しながら少し笑みをこぼした。
朝から難しい顔をして暗い事件報道をする番組よりも 眠い顔を見せず
元気いっぱい笑顔を画面に見せてくれるお天気お姉さんの方が
やもめ暮らしの男には元気を与えてくれる。
そして、そのお天気を伝える女性が少し亡き妻、里実に面影が似ているのも
その番組を見てしまう要因のひとつかもしれない。

作品名:緑の季節【第一部】 作家名:甜茶