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てっしゅう
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「神のいたずら」 第九章 失恋

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第九章 失恋


学校で碧は自分がされたことを清水に話した。相手の親に連絡をして止めるように注意してもらうと約束してくれた。もし出来なければ、学校から警察に届けてそれなりの取り締まりをさせるから大丈夫だとも言ってくれた。

「先生ありがとうございます。母も姉も安心すると思います」
「今の子は何をするか分からないから、注意は必要だけど、逆恨みってあるから、人に恨まれないように行動し無いといけないよ」
「はい、解かりました。ところで、先生・・・これが電話番号とメルアドです。一度会ってお話しても構わないっていう事でしたので、先生からメールか電話してあげてください」
「そうか・・・なんだかドキドキしてきたな。女性と会うために電話をするなんて・・・何年ぶりだろう」
「頑張って下さい。早川先生、面白い人が好きって言ってました。真面目になり過ぎないように話してくださいね」
「そうするよ・・・それから、この話は誰にも内緒にしてくれよ。決まったらバレてもいいけど、今は隠しておきたいんだ」
「もちろんです。じゃあ、失礼します」

職員室を出て廊下で優に会った。
「碧ちゃん、ちょっと話があるの。部活終わったら一緒に帰りながら話しましょう。いいかしら?」
「いいですよ。終わったら職員室に来ます」
「6時半ごろよね?準備して待ってるわ」
「はい、じゃあ後で」

碧はなんだろうと思いながら練習を終えて職員室を訪ねた。
「今出るから待っててね」
優と久しぶりに話しながら学校を出た。

「今年のお盆なんだけど、名古屋に行きたいの。お墓参りに・・・一緒に行ってくれない?」
「本当ですか?是非行きたいです。ママに今日帰ったら話しますから」
「そうして・・・それとね、もし良かったら早川先生もご一緒されないかなあって・・・聞いて見てくれない?」
「うん、そうする。楽しみだなあ、三人で行けたら・・・」

何かがあるような予感がした。

家に帰った碧は優から誘われたことを話した。
「そう・・・先生も忘れられないのね、お気の毒だわ。これからだって言うのに・・・碧が助けになっているのよね?いいわよ、行ってらっしゃい」
「ありがとう・・・高橋さんも喜ぶよ」
「それから、先方に失礼だけど、もういろんなもの買ってもらうことはお断りするのよ。少しお金あげるから、碧から何か買って差し上げて頂戴・・・解った?」
「うん、そうする。それからね、今度は早川先生も一緒に誘いましょうって言われたよ」
「前島先生がそう言ったの?」
「そうだよ。だから私がそのこと伝えるの」
「今回で区切りにしたいのかしら・・・先生」
「どうしてそう思うの?」
「早川先生は精神科の医者でしょ?高橋さんのご両親に自分がもう来ないって一人で言いづらいって、思われたんじゃないのかなあ」
「早川先生に手助けして欲しいって言うこと?」
「あなたじゃ無理だって思ったのよ、傍にいてくれても」
「他人が居た方がいいって言うことなの?」
「冷静に話せるからね・・・感情的になったときに収めてくれる人が精神科の医師だったら、これほど都合の良い事はないって思わない?」
「そうか・・・そう思っているのか。そんなに辛いことだったんだね」
「そうも言えるわね・・・今度は前島先生にいい人探してあげなきゃね?碧が」
「えっ?・・・もう居ないよ、知ってる人なんて」
「ウソよ、先生ならご自分で探せるわ。きっとそうされる・・・」
「ほんと?いい人見つかる?」
「ええ、ママはそう思う」

今では碧は優が早く恋人を見つけて結婚できれば嬉しいと思っていた。自分の中にあった優への恋愛感情は無くなり肇への思いと入れ替わっていた。

早苗に電話した碧は快く返事をもらって、3人はお盆に名古屋に出かけることになった。高橋の母裕子は碧からの電話に喜びを隠せずに泣いていた。同じように泣きながら電話をしている碧に由紀恵は、幸せであることの恩返しをより強く考えていた。

ゴールデンウィークを前にして清水は早苗に電話をかけた。
「初めまして・・・清水と言います。今お電話宜しかったでしょうか?」
「はい・・・早川です。ありがとうございます、お電話頂いて」
「先生は連休はお休みですか?」
「はい、一日当直がありますが後は休みです」
「宜しかったらお会いしたいのですが、会っていただけますか?」
「はい、そのつもりでお電話待っておりました。清水さんに合わせますので、決めて下さい。それから・・・先生は辞めて下さい。名前で呼んで頂いたほうが嬉しいです」
「はい、解りました。では、4日の午後渋谷で待ち合わせしましょう。ラフな格好で行きますのでお許しください」
「そんなこと・・・私も普段着で参りますから・・・」

初めて顔合わせをした二人は、直感でもあったのだろうか・・・よく話をして気持ちよく時間を過ごせた。清水は碧が言っていたとおりの早苗の容姿に心がときめいた。早苗は、聞いていたとおりの優しい印象にこの人だったら・・・そう感じていた。
「また会って頂けますか?」清水の問いかけに、
「はい、こちらこそよろしくお願いします」と前向きな返事をした。

連休明けに学校でニヤニヤしている清水に碧は、「先生!よだれ出てますよ」と冗談を言った。優が傍に来て、
「清水先生何かいいことがあったのかしら・・・ニヤニヤされて」
「恋人が出来たんだよ・・・早川先生」
「えっ?そうだったの!・・・良かったわね」
「まあね・・・」
「早川先生も気にいったのかしら?でも、うまく行っているようね、あの様子じゃ」
「多分ね・・・だって・・・美人で医者だよ!夢中になるさ」
「あら、女は容姿じゃないって・・・誰かさん言ってたような気がするけどなあ・・・」
「優先生!・・・それって、私のことじゃないですか?・・・もう・・・」

二人は顔を見合わせて笑った。清水が、
「何笑っているんだ?」そう聞いてきたので、さらに笑えた。

ゴールデンウィーク中に弥生は交際相手の俊一を自宅に連れてきた。家族に紹介したと言うことは真面目な付き合いだと由紀恵は受け取った。そして、なかなか好青年に見えたので、ずっと付き合いを続けて欲しいとも願っていた。

晩ご飯を食べ終えてから、弥生は車で来た俊一を見送って部屋に戻ってきた。碧は「話したい」と部屋に入り込み、姉のベッドに腰掛けた。
「俊一さん、以前より大人になったね。いいなあ・・・お姉ちゃんは、あんな人に抱かれて・・・」
「何言ってるの!いきなり・・・」
「だって、そうでしょ?何も無いって言わせないわよ。お泊りまでしてて・・・」
「あんたも好きね、そんな話ばかりしてきて・・・ひょっとして欲求不満なの?」
「違うよ!興味はあるけど・・・それより、初めての時のこと教えてよ。どんな感じだったの?」
「答えないといけないの?碧に言うのは恥ずかしいよ。妹だから」
「私は言えるよ、お姉ちゃんだったら・・・」
「あんたは特別なのよ、精神構造が・・・」
「なんだか嫌な言い方に聞こえるよ。ねえ?痛かった?」
「・・・どこでそんな事覚えてきたの?」
「詩緒里ちゃんが・・・言ってた。あと、くすぐったかったとも」
「まだ中学生ならくすぐったいって感じなのね・・・フフフ・・・可愛い」