メールdeアンケート
「臨時ニュース 世界各地に巨大UFOが出現。静かに空中に静止し――」
それからTVはずうっとそのニュースを流しつづけ、店の中もザワザワとしてた。
僕らも初めのうちは「おーすげぇ」なんて言って観ていたけど、その内に皆はいい加減嫌気がさしたのか、早々に帰ることにした。
もっとも僕は気分が悪くなってニュースなんて聞いてもいなかったけど。
何故って?
僕は気付いてしまったんだ。あのアンケートは彼らが僕らの本音を聞くためにしていたんだって事を。
もちろん勘違いって事もあるだろうけど、僕はそれがどうしようもなく当たっている気がしたんだ。
交差点の角にある店を出ると皆はばらばらの方向に帰っていった。
帰宅する方向に歩きかけた僕は意を決してなつみの後を追いかけた。
今までは中々言い出せなかったケド、今日はこそは絶対にコクってやる。
集計結果が出るまで、まだ一ヶ月以上ある。
最後の夏休みかもしれないんだから、僕は悔いなんて残したくなかったんだ――。
おわり
03.02.06
作品名:メールdeアンケート 作家名:郷田三郎(G3)