老い楽(らく)の恋
由香がダンス教室から帰って来ると珍しく夫、徹は帰宅してた。
夕食は作ってあったから問題はなかったが夫の機嫌が悪そうな
顔して夕刊を読んでいる。
ブスっとして由香の顔も見ない。
由香は明るく「あら、珍しく早いのね。ただいま!」と声をかけた。
夫は新聞に目を向けたまま「お前、この頃家を空けることが
多くなっみたいだな」嫌味混じりに言った。
「週に1~2回ダンス教室に行って何が悪いのよ。それとも
一週間ずーと家に閉篭もっていろとでも言うの」
「俺はダンス教室に行っちゃいけないなんて言ってない。
その他でも出かけてるだろう」
「学生時代の女友達とたまにはランチぐらいするわよ。
自分のことを棚にあげて嫉妬してるの」と嫌味返した。
「それにあなたはそんな事いう権利ないわ・・・
わたしは家事もキチンとやって主婦の義務を果たしているし
おなたに迷惑はかけてないわ」
由香はそう言って寝室に入ってしまった。
寝室に入った由香はまだ寝る時間ではなかったが着替えて
布団を敷いて横になった。
《夫はなんて勝ってな人なんだろう
自分はゴルフだテニスだと楽しんで浮気も平気に顔して女と
セックスしてるくせにわたしがちょっと遅くなったからと
嫌味混じりにわたしを責める。
そんな理不尽なことがあるかしら・・・
主婦を家政婦ぐらいにしか思ってないのよ。
生き抜きぐらいして何が悪いのよ
人生を楽しんで何が悪いのよ
主婦だって悩みはあるの、人生が辛くなることもあるのよ
何故それが解ってくれないのかしら・・・
癒して欲しいのよ
優しくして欲しいのよ
愛して欲しいのよ
妻だって女だから・・・
でもその役目はあなたじゃないことはハッキリしたわ
もうあなたの心を貰わない!わたしの心もあげない!》
そんなこと考えつつ眠りの誘いに応じた。
ーーー身体が重い・・・
何かがしきりにわたしの体を弄ってる
誰かが何かしている・・・体の芯が熱い・・・
夢うつつの中で空中に浮かんで足を広げてる
何か硬く熱い゜もの゜が入って来る
何か邪悪なものに感じる・・・
ヤダ、ヤダ、止めて~ヤダ~と叫んでる気がする。
夢の淵から呼び戻され目を開けると男が獣のような顔して
わたしを見下ろしてる。
由香は夢から覚醒して「何してるの、止めて!」と叫んだ。
夫、徹であることは長年身体を重ねた感触で判った。
夫はその声を無視して女の芯を弄り続けてる。
とっさに上の乗ってる゜男゜を両手で撥ね付け部屋の隅に逃れた。
徹は怒りと猜疑心の入り混じった表情を露わにして
「夫婦だから当たり前のことしてただけだ。裸を見られると
何か疾しいことでもあるのか」と語気を強めて言った。
「やましいこと・・・?それはあなたじゃない」
薄暗い部屋の片隅でいい放った。
「そんな穢れた体でわたしに触れないで!」
「お前、男が出来たな・・・」
嫉妬と猜疑心の権化した徹は
「セックスを拒否するのが何よりの証だ」と怒鳴り散らした。
「あなたがわたしにした仕打ちを考えて下さい。
わたしがどんなに悔しい悲しい思いをしてるか
考えたことあるんですか」
由香は自然と涙が零れてるのも忘れて訴えた。
「俺は穢れてもいないしそんな邪推で言い逃れするな
男が出来たら出来たとはっきり言え」
ゆかはもう反論する気力が無くなってしまった。
《この人はもうかつて愛した夫じゃない》
哀れみ、蔑み、憎しみの心が支配して沈黙した。
徹は由香が沈黙したのは疾しさの裏返しと受け取り
由香の頬を叩いた。
そして野獣のように妻である由香を犯した。
由香は初め抵抗したが諦めて人形のようにされるがままにした
何をされても無反応、その表情は蔑みの目を開けたまま
一点を見詰めて氷のような冷たい青ざめた顔だった。