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小田原 拓哉
小田原 拓哉
novelistID. 32544
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老い楽(らく)の恋

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西村由香はこれからは夫に気兼ねせず自分らしく楽しく人生を
送ろうと思いその手始めに社交ダンスサークルに入会した。

ダンスを始めて一ヶ月になるがまだまだ初心者の域を脱して
いないが男性のリードがあれば楽しく踊れるようになった。
一緒に入会した女性達やサークルの女友達とも仲良くなり
練習が終わってからお茶するようになった。


今日は3人でお茶しながら
「相変わらず男性が少なくてパートナー探すのに苦労するね」
サークルでは先輩のA子が嘆いた。

「そうよねぇ。女同士じゃステップも違うし楽しくないわ
やっぱりダンスの上手い男性と踊りたいわよね」と相槌をうつB子

「男性が入会してダンスが踊れるようになれば絶対モテるのにね。
勿体ないわよねぇ」と意味深なA子

「何か勿体ないのよ」とB子が言うと2人で大笑いした。

「由香さんもそう思うでしょう?」

「そうですね。どうせ踊るなら男性がいいですわ
わたしはまだヘタなのでリードして貰わないと旨く踊れませんから」

「でも今日一緒に踊ってた男性には気をつけた方がいいわよ」と
A子が意味あり気に由香に忠告した。

由香が不信そうに「えっ、何でですか?」

「あの人はダンスは上手いし身長も高くていい男じゃない。
ダンス教室では要注意人物よ」と意味あり気な笑いをした。

「そうそう、教室内のかなりの女性と噂があるみたい・・・
その噂の一人にAさんも入ってるわよ」

A子は開き直って「いいのよ本当のことだから・・・でも昔の話よ」
吐き捨てるように言った。

「由香さんは美人だからその内、口説かれるわよ」と二人でニヤリとした。

「まさか~わたしにはロマンスグレーの紳士に見えたけど・・・」

「それがクセ者なのよ。ダンスもおしゃべりも上手いからコロっとね・・・」

「経験者は語るだね」とB子がチャカした。

作品名:老い楽(らく)の恋 作家名:小田原 拓哉