老い楽(らく)の恋
平野香織は少なくとも娘が大学を卒業して社会人に
なるまでこの生活を続けようと決心した。
《せめてあの決まった゜あの日゜がなければいいのに・・・》と
ため息はつくが決心すると意外と精神的に楽になった・
そんな時、香織の携帯が鳴った。
高校時代から親友からのメールであった。
親友
おひさ~元気してる
香織
うん、なんとか息してる(笑)
親友
久しぶりにランチでもどう?
香織
いいよん、例のお店でいい?
親友
うん、じゃお昼にお店で
待ち合わせ場所は吉祥寺第○ホテル一階にあるバイキングである。
このホテルのランチバイキングは安価で料理メニューも豊富で
美味しくデザートのケーキ類が絶品との女性達に人気の
バイキングだ。
二人は好みの料理やケーキを皿に盛りしばし料理に堪能した。
香織の親友、河野真紀は満足気に
「いつ食べてもここの店の料理は美味しいね」
「うん、真紀と会うのも久しぶりだよね。あれからどうなったの?」
真紀はちょっと眉間にシワを寄せ
「どうもこうもないわよ。あのバカ亭主なんの反省もないんだから」
以前、真紀の亭主の浮気が発覚して泣いて香織に
相談したことを言っている。
「でも、もう浮気はしてないんでしょう」
「今のところ大人しくしてるみたいだけど今だに俺は浮気
なんかしてないの一点張り。女との会話が残ってるのに
認めようとしないんだから、もう呆れちゃってどうぞ
ご自由にって感じね」と言いながら苦笑した。
その後に
「だからね・・・わたしも・・・」と含み笑いをした。
「何よ、そのだからねわたしもって・・・」
「う~ん・・・どうしようかなぁ・・・」
「勿体つけないで言いなさいよ」
「香織と同じ状況かな・・・」と舌をぺろりと出しておどけた。
「不倫?・・・してるってこと?・・・」香織は声を潜め
少し驚いた顔してまじまじと真紀の顔を見詰めた。
「うん、ちょっとした切っ掛けで・・・そうなっちゃったのよ」
「ふ~ん、そうなんだぁ。でも大丈夫なの・・・ご主人・・・」
「たぶん・・・気づいてないと思うわ」
「でも気をつけないとダメよ。わたしはバレたらバレたでいいけど・・・
真紀は離婚するつもりはないんでしょう?」
「うん、今のところはね・・・」
二人はこのことは二人だけの秘密にしようと約束した。