別離の情景
帰路
二本の虚構の真上
すべるように遠のいてゆく
わたしの愛するもの
姿は消え
こだまがかえる
一日がいつもと同じように傾き
夏が陰る
夕映えたあたりは色を染め変え
人々は家路をたどる
帰る家のない心に通う風はなく
語らない心には
祈るように口ずさむ詩も感動ではない
あなたにとって
それだけが真実なのだろう
風になるすべをなくしたわたしにとって
頼れるものは狂乱の夢にほかならない
空虚な街に陽は衰えをみせ
追憶が始まる
わたしはなにも多くは望まなかった
なぜ それが許されないのだろう
ただ夢がほしいだけなのに