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CROSS 第15話 『せめぎあい』

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第2章 連行



 翌日の夕方の時間帯(異次元空間なので夕焼けは見えないが)に
なって、少佐を乗せた空母『白鯨』は、幻想共和国の近くに着いた。
その世界も他の世界と同じように、異次元空間の海の上に、島のよ
うに浮かんでいた。半透明のバリアごしに、幻想共和国の世界が見
える。
 白鯨は航行を停止し、併行して航行していた潜界艦も停止した。
追尾していた特務艦は速度を落とした。

 少佐がいびきをかきながら寝ていると、牢屋の前に、妖夢がやっ
て来た。彼女は、牢屋の前で浮かんでいた霊魂に指示して、牢屋の
鉄格子を開けさせた。
「……着いたのか?」
鉄格子が開く音で目を覚ました。
「ここからは、シャトルで行きます」
妖夢はそう言うと、牢屋の外を指さした。
 少佐はやれやれと立ち上がり、牢屋を出た。すぐ後ろを妖夢が歩
き、少佐は前にいる霊魂の後に続くように言われた。彼女は、刀に
手を伸ばしており、少佐が逃げようとしないようにしていた……。

 牢屋を出た少佐は、この艦の格納庫に連れていかれた。格納庫に
は、戦闘機などの航空兵器が置かれていた。どれも幻想共和国軍の
現役のものばかりだが、戦闘機以外は、どこかで見かけた古いもの
だった。
「旧式兵器ばかりに見えるな。まるで博物館だ」
少佐がそう言うと、妖夢が後ろから黙って歩けと言ってきた。
 格納庫をしばらく歩くと、空母の甲板に上がるためのエレベータ
ーのところに、シャトルがあった。特務艦にやって来て、少佐をこ
こに連れてくるときに使ったシャトルだったので、少佐は思わず立
ち止まった……。
「おとなしくしていれば、何もしませんよ。ほら、早く乗ってくだ
 さい」
「変だな。ここに来る前、オレはおとなしくしていたんだが、誰か
 さんに気絶させられたんだが?」
「……細かいことはいいから、早く乗ってください」
妖夢はそう言うと、少佐をシャトルの中に押し込んだ。

 少佐はシャトルに乗りこむと、機内を見渡した。コクピットには、
あのプリズムリバー三姉妹が出発準備を整えていた。
「どうも」
後ろの席から声がしたので、そちらを見てみると、犬走椛がカメラ
を構えて、座席に座っていた。犬走椛は気まずそうに、少佐を見て
いた。
「私はぐるではありませんよ」
犬走椛がそう言って弁解した。
 少佐は、そんな犬走椛をほっといて、適当に座席を選んで座った。
そして、通路を挟んだ隣りの座席に妖夢が座った。
「出発して」
妖夢がコクピットに向かって言うと、シャトルを乗せたエレベータ
ーが上に動きだした。
 20秒ぐらいしたら、シャトルは空母の甲板に上がっていた。シ
ャトルはゆっくりと、滑走路の指定位置についた。甲板上で、霊魂
が不器用に旗を振っていた。