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CROSS 第15話 『せめぎあい』

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 そのころ、異次元空間上にいる空母『白鯨』では、少佐たちを送
り届けて帰ってきたあの三姉妹が、ブリッジでたむろしていた。
 頭上にあるブラウン管のモニター画面には、議事堂が映し出され
ていた。
「もう、あの少佐さんも終わりかな? 姉さん」
三女がモニター画面を見て言った。
「……さあね」
長女は興味無さそうにしていた。
「帝国連邦と戦争になったら、忙しくなりそうね−」
次女が他人事のような口調で言った。
 三女は、近くを通り過ぎていく特務艦を見て、
「姉さん。CROSSの特務艦が通り過ぎていくけど何もしなくて
 いいの?」
「入国しても何もできないから、ほっとけって、艦長が言ってたわ」
「ふーん」

 そのとき、ブリッジの窓の向こうを何かが通り過ぎた……。

「姉さん!!! 何か通り過ぎていったよ!!!」

 三女がそう叫んだとき、霊魂が一匹飛んできて、長女に何か言っ
ていた。長女は黙ってそれを聞き終えると、艦長席の近くの機器に
ある大きな赤いボタンを押した。

   ウーーーーーー−!!!

 サイレン音が響き出した。
「姉さん!!! どうしたの!?」
三女が長女に聞く。長女は落ち着いた口調で、
「現在、大日本帝国連邦の陸軍艦隊がわが国に接近している模様、
 さきほど、帝国連邦機が本艦上を通過した。我々は、接近を阻止
 する」
「でも、姉さん。この数を相手にするのは、かなりヤバいんじゃな
 い?」
次女がブリッジの窓から外を眺めながら、呑気な口調で言った。

 ブリッジの窓の向こうの異次元の海は、大日本帝国連邦軍の軍艦
が埋め尽くしていた……。軍艦の数は百隻近くあり、陸軍航空隊の
空母といった大型艦もあった……。その軍艦の大群の上を、無人戦
闘機『ラプチャ−』が通り過ぎていく……。この様子だと、白鯨の
周りにいる潜超艦も行動不能になっているのだろう……。
 そして、それらは幻想共和国に向かっていた……。

「黙って見ているわけにはいかないでしょ。出撃するわよ」
長女はそう言うと、ブリッジから出ようとした。やれやれといった
感じで、次女と三女がそれに続く……。