【第九回・四】くり・栗・みっくす
神社の境内正面にテンコ盛り山盛りに集められた落ち葉の山に向かってやってくるのは中島
「よっこら…せっと」
バサバサと袋から落ち葉を出してまた積み上げる
「だいぶ集まったっちゃね」
周りに散らばった落ち葉を緊那羅が箒でかき集めながら言った
「垣根の垣根の曲がり角ぉ~っと」
後からやってきた南も中島同様袋から落ち葉を出しながら歌う
「ふぃ~…いやいや…すっかり秋だぁね」
集めた落ち葉を一枚持って南が言った
「肌寒くなってきたしナァ…ついこないだまでは暑くて暑くてウダウダしてたのに…北海道の夏って本当短ェよなぁ…」
そう言って中島が見上げた空は高く青かった
「イモの準備はできたんだやな!!」
ゼンが頭の上にアルミ箔に包まれたイモが入ったザルを乗せてゴと共に駆けてきた
「お! イモ班一番乗りでご苦労さん!!」
中島が言う
「…ちゃっかり一番大きいイモに自分等の名前かいてる辺りしっかりしてるよねぇ;」
一番上に乗っていた一番大きなイモであろうそのアルミ箔にはマジックでしっかり【ゼンゴのイモ】とミミズ文字で書かれていた
「早い者勝ちなんだやな」
ゴが笑いながら言う
「こんなデッカイイモ食ったらお前…屁連発すんじゃねぇ?」
中島がそのイモを手にとって言う
「武器になるからいいんだやな」
ゼンが胸を張って言う
「嫌な武器だっちゃね;」
緊那羅が苦笑いで突っ込んだ
「屁ってサァ…スカシだとやたら臭ェよなぁ…」
中島がイモを落ち葉の山に埋めながら言う
「そうそう!! やたらシリの穴の周りが熱くてさ!!」
南が笑いながら言う
「音がすれば臭くないってアレ絶対嘘だよな」
イモを次々に落ち葉の山に埋める中島がしみじみと言った
「そうなんだっちゃ?」
中島にイモを手渡しながら緊那羅が聞く
「俺もそう思う~…俺栗食って屁ェしたらでっかい音したから臭くないと思ってたんだけど…きたんですよね後からジワジワと臭気が」
南が遠い目をして言う
「それがもう臭いのなんのって…よくコントとかで屁したら黄色い空気になるじゃん? あんなカンジでさ~; 家族で食ったからもうブップブップ音はするわ臭いわで…ネェ?」
南が【チョイと奥さん】的手つきで緊那羅にふった
「京助の屁も臭いんだっちゃ;」
緊那羅が言う
「前にこう…握った手を顔の前に出されたかと思ったら…あの時は本気で引っ叩いたっちゃよ;」
緊那羅が溜息をついた
「京助の屁は本当臭いんだやな」
ゼンがウンウン頷く
ざく
作品名:【第九回・四】くり・栗・みっくす 作家名:島原あゆむ