税金裏話~消費税
はじめに
平成元年から施行された消費税法について、当初の税率が3%だったことはご記憶でしょうか? 現在は5%ですが、なぜ当初は3%という、計算上小数点以下端数が出やすい税率だったのか、疑問に感じたことはありませんか? 実話をお話します(政治の裏面史)。
大蔵省(現財務省)の税率原案は1%でした。
一方、政府税調の原案は5%でした。
大蔵省原案の税率が安かったのは、消費税は安くあるべき……という理念ではなく、法律を通しやすくするためです。新たな法律制定には、下準備を含めて時間がかかりますが、
一度できた法律の税率改正ならば、条文の一部を直すだけで、比較的簡単だからです。
とにかく、法律を通せばいい――それが大蔵省の意向でした。
一方、政府税調は、計算しやすい5%・10%というわかりやすい税率がいいと考えていました。また、今後の税率改正でも、どうせ、もめるだろうから、最初から10%、いや、それでは批判が強すぎるだろうから、5%にすべきとの考えでした。
さあ、どうやって二つの案を折り合いましょうか?
まとめる知恵者・実力者はいないのか?
ここで、当時の自民党実力者であり、大蔵大臣経験もあり、根回し・調整型の総理大臣の登場です。
双方の主張・顔を立てました。
よし、その間(あいだ)をとりましょう。
小学生でもできる算数:(1+5)÷2=3
こうして、税率3%が決定しました。
えっと、驚かないでください。嘘のような本当の話です。
なぜならば、消費税導入・作成にかかわったメンバーの一人が、会計事務所向けセミナーの中で、オフレコ条件で語ってくれた内容ですから。
大蔵省にとって懸案だった消費税――その成立をさせてくれた大恩人が亡くなるまで、大蔵省に絶大な影響力を持ち続けた理由の一つが、ここにあります。
さらに、3%に決まった時、もう一つの調整がされています。いずれ折をみて、本来予定していた5%にしましょう、となりました。そして、見直し時期はおおむね5年ごとにとも。
おまけに(うれしくないおまけですが)、もう一つの取り決めがありました。
ちょっと考えてみてください。消費税の税率上げる……非難ごうごうになりますね。そのために、どうしましょうか?
消費税5%になる1年前(平成8年)のことを、ご記憶でしょうか? 何やら”先行減税”とかありました。消費税を上げる前に、今後まず、所得税を先に減税し、景気対策及び選挙対策をして、それから消費税を上げましょう……このように決定しました。
税率については、それから10年以上維持されたままです。時期的には改正仕方ない、と行政側は考えています。
その一環として、日本の消費税は他国より安い・財政赤字が巨額と、盛んに宣伝がされています。
ちなみに、極論で国債発行ゼロにするためには、単純計算で30%必要といわれています、現状では。それ故、現在、行政側の考えている上限目標は、この30%ではないかと推測できます。リスクとして、この点を頭に入れておいてください。
補足ですが、今回の改正では財政赤字に加えて、東日本大震災からの復興資金が必要との宣伝により、先行的な所得税減税はされない見込みです。