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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・参】瞳水晶

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歩くたびに落ち葉を踏んでカサカサという音がした
「冷めても知らないっちゃよ?」
後ろをついてきていた京助に緊那羅が言う
「俺が行くってんのにお前がきたんじゃん; お前が戻れよな」
足早に緊那羅に近付きながら京助が言う
「私の方が先に歩いてるんだっちゃから私がいくっちゃ」
緊那羅が言った
「俺が行くっての!!;」
京助が少し声を大きくして言う
「寒いだろうが」
京助が言うと緊那羅が足を止めた
「…裸足にサンダルじゃん…人一倍寒がりのクセに」
止まった緊那羅の横を京助が通り過ぎる
「戻ってろ」
そう言った京助が足早に社務所へ向かっていった
「…っ…私も行くっちゃッ!!」
緊那羅が駆け出して京助に追いつく
「二人もいらねぇだろが;」
隣に並んだ緊那羅を見て京助が言う
「…ばぁか」
「痛ッ!!;」
京助が緊那羅の髪を思い切り引っ張った
「何するんだっちゃッ!!;」
頭を押さえた緊那羅が怒鳴る
「何やってるのあんた達は;」
社務所に鍵をかけながら母ハルミが二人を見て言う
「飯だってさ」
京助が言った後チラリと緊那羅を見る
「さぁさ!! 寒くなってきたしお腹もすいたし!! 早く戻るわよ~!!」
母ハルミが京助と緊那羅の手を引っ張って駆け出した
「今日は竜田揚げッ!!」
母ハルミが嬉しそうに言う
「母さんや母さんや;」
京助と緊那羅が苦笑いでそんな母ハルミに引っ張られていった

「鼻水出てますよ」
スコンという音と共に後頭部に何かが当たって迦楼羅が振り返ると京助の服を着てエプロンをつけた乾闥婆がティッシュの箱を迦楼羅の頭に当てていた
「ご飯できましたって…緊那羅が言いにきませんでしたか?」
ティッシュを二枚抜き取った乾闥婆がソレを迦楼羅の鼻に当てた
「ハルミ殿を呼びに行った…」
迦楼羅が当てられたティッシュを持ち鼻をかんだ
「呼ばれたならすぐ来てください」
「だっ;」
乾闥婆がにっこり笑って迦楼羅の前髪を引っ張った
「冷めたらまた文句言うんですから…」
乾闥婆が言う
「…迦楼羅?」
いつもならここで怒鳴るであろう迦楼羅がおとなしいのを不思議に思った乾闥婆が迦楼羅の顔を覗き込んだ
「お腹すきすぎましたか?」
乾闥婆が聞く
「いや……」
迦楼羅が首を振った
「乾闥婆…」
「何ですか?」
迦楼羅が名前を呼ぶと乾闥婆がすぐに返事をする
「今お前は幸せか?」
迦楼羅が聞くと乾闥婆がきょとんとした顔をした
「…は?」
そしてしばらく間を空けた後疑問系で聞き返す
「…行くか…腹が減ってかなわん;」
迦楼羅が立ち上がった
「一体なんなんですか;」
立ち上がった迦楼羅を乾闥婆が見上げた
「別になんでもないぞ? ホラ! 行くぞ!」
迦楼羅が乾闥婆に向かって手を差し出した
「立てますよ」
乾闥婆が迦楼羅の手を掴まずに立ち上がると乾闥婆の手を迦楼羅が掴んだ
「…迦楼羅?;」
驚いた乾闥婆が足を踏ん張った
「冷めるのであろうが!! たわけッ!」
迦楼羅が怒鳴る
「あらぁ! かるらん君とけんちゃん! ホラ! ご飯ご飯!!」
母ハルミが京助と緊那羅を引き連れて玄関を開けながら迦楼羅と乾闥婆に声をかけた
「先行ってるわよ~?」
母ハルミが家の中に入りながら言う
「…行くぞ」
クイッと迦楼羅が乾闥婆の手を引っ張る
「わかりました」
乾闥婆が溜息を吐きながら言うと迦楼羅が何故か微笑んだ