更新日時:2016-05-24 19:07:02
投稿日時:2011-10-15 21:08:04
老婆の宝物
著者の作品紹介
老婆が宝物を見せてくれた。それは古びて、もう茶色になりかけた写真である。ビニール袋の中に大切に肌身離さず持っている。結婚して子供が生まれた頃に撮った写真だ。夫と仲睦まじく寄り添い、そして生まれたまもない天使のような我が子を嬉しそうに抱いている。
一番大切な時間がその写真の中にびっしりと詰まっている。その写真を見せるとき、はまるで花も恥じらう乙女のような目をして、昨日の出来事のように話す。話を聞いているうちに切ない気持になった。ただ沈黙するだけだった。
半年後に老婆の訃報を聞いた。おそらく老婆は大切な写真とともに永遠の眠りについたのであろう。それもまた幸せな死であったといえるではないか。
一番大切な時間がその写真の中にびっしりと詰まっている。その写真を見せるとき、はまるで花も恥じらう乙女のような目をして、昨日の出来事のように話す。話を聞いているうちに切ない気持になった。ただ沈黙するだけだった。
半年後に老婆の訃報を聞いた。おそらく老婆は大切な写真とともに永遠の眠りについたのであろう。それもまた幸せな死であったといえるではないか。
感想コメント (3)
おばあちゃん昨日はどこへ?なんて徘徊とは旅をすることと思ってあげたらみな楽しいですね。年を取ったら私も早く死んで早く生まれ変わりたいと思うかもしれません。 | 退会ユーザー | 2011-11-01 10:18:48
年をとっても生きがいとなるものがあるといいですね。亡くなった母は高齢になっても意欲的でした。 | 退会ユーザー | 2011-10-22 19:06:22
そうですね、人の一生とは。 最後の写真の下りが沁みました。 | 鮎風 遊 | 2011-10-16 22:43:19