小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
河上かせいち
河上かせいち
novelistID. 32321
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

絵描きのはなし

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 


 “普通の女子大生”になり、卒業し、何度かの失恋を経験した今、わたしには恋人がいます。
 ここまでわたしのことを認め、愛してくれる人は生まれて初めてです。結婚も考えています。
 彼が傍にいてくれることで劣等感は軽減し、孤独感も随分和らぎました。腕もすっかりまっさらにきれいになりました。
 絵描きがその後どうなったのか、詳しくは知りません。
 時折来る携帯電話でのメールは、小文字や絵文字や顔文字だらけの“今時の女性”のメールそのものです。
 彼女はあの頃言っていた信頼関係を誰かと築けたのかどうか、わかりません。
 ただ、会いたいと思います。
 会って、楽しいおしゃべりがなくてもいい、どこかに遊びに行かなくてもいい、ただ、絵描きに会いたいとだけ思います。
 絵描きと信頼関係で結ばれたかったのはわたし自身だったのです。
 願わくは、それを絵描きに伝えたかったのです。





 絵描きの絵がもう一度見たいと思います。
 今はどんな絵を描くのか、それとももう何も描かなくなってしまったのか、今のわたしには見当もつきません。
作品名:絵描きのはなし 作家名:河上かせいち