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飛鳥川 葵
飛鳥川 葵
novelistID. 31338
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クロス 第四章 ~SYMPATHY~

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「ウチもそことガンマン協会から来た。通り魔が出るから夜は銃を持って外出するなって」
「そうなんだよ。でもおかしくねぇ。通り魔なら街宣車出して町中で流すだろうにさ」
「そうだな。きっと銃持ってる奴等だけ狙われてるんだろう」
「そうか。なら安心して仕事できるよ。アレックスは参加すんの?」
「やめとくよ。命が惜しいんでね」
「ふ~ん。なんだ。じゃあ、仕事に戻るな」
 電話は切れた。
 アレックスは考えた。勧告は用心棒協会、ガンマン協会の両方に出されている。例の銃撃事件は警官だけを狙っていたのではないようだ。これは思ったより厄介な事件になった。
 ビリーが手を拭きながら寄ってきた。
「誰からでしたか」
「ヨハンから。用心棒達が勧告無視して自警団組むんだとさ」
「そうですか。危険ですね」
「あぁ。事は思ったより厄介な方に転がり始めた」
「ですねぇ。どうしますか」
「ちょっとディータに行ってくる。ガンマン達の様子を探ってくる」
「痛飲してこないで下さいよ」
「するかよ」
 アレックスはふてくされて出ていった。

 ディータには今宵もガンマン達が集(つど)っていた。ここはガンマン御用達になっている。アレックスはカウンター席でジャック・ダニエルを吞みながら、奥の席を見やった。何やらお祭り騒ぎになっていた。恐らく自警団でも組んだのだろう。
「おい、アレックス! お前も参加するだろ!」
 一団からお誘いが来た。振り返って応じる。
「今回はやめとくよ!」
「なんだよ! 腰抜けだな!」
「腰抜けで結構!」
 アレックスはカウンターに向き直り、グラスに残った酒を一気に吞み干して、グラスを差し出した。マスターのボギーが酒を注(つ)ぐ。
「連中、ずっとあんな感じか?」
「えぇ。来た端から声掛けてますよ。通り魔ですってね」
 アレックスはぎょっとして店内をぐるりと見渡した。常連のガンマン達ばかりだったので一安心した。一般客がいたらパニックになっているところだ。
「連中,そんなコトまで喋っているのか」
「大声で話していましたよ」
「情報だだ漏れじゃないか」
「でも物騒ですよね。オーランド郡でもないのに」
 オーランド郡とはここホランド郡の二つ隣りの郡で、共和国と国境を接している所だ。十年程前まで共和国と紛争を起こしていた。アレックスも派兵されていたのでよく知っている。和平締結後の今も治安は安定していないと聞く。
「マスターも気をつけなよ」
「大丈夫ですよ。ウチは夕方から明け方まで営業ですから」
「そうか。それもそうだな」
 アレックスは酒を吞み干すと勘定を支払って店を出た。厄介なコトになってしまっていて、頭が痛かった。