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ありがとう

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 通夜には出ようと皆で相談して、福間先輩の家族に了承を得て、先輩の家に集まった。
 十人集まっていたから、家族の人に迷惑をかけないように、皆大人しくしていた。
 それぞれが、各々話していたり、黙っていたり、泣いていたり…
 私はそれを呆然と眺めながら、親友と一緒に畳に座っていた。

 「今夜通夜だって…」
 「…うん」
 「なんか、未だに信じられない…」
 「…うん」
 「本当に、昨日まですっごく……元気だったんだって…」

 親友の泣きはらした声が、遠くで聞こえる。

 「…うん」
 「まだ…時間あるね…」
 「…うん…」


 ――俺ん家のすぐ近くに、公園があるんだけど……――


 「まだ、時間あるよね」

 私が立ち上がると、親友が頷く。

 「うん、どこか行くの?」


 ――空が見える場所にしよう――


 「気分転換…というか、じっとしてられないの」

 福間先輩は言っていた。
 その場所で皆で景色を一緒に描こうって言ってた
 
 …その場所へ、行きたい。
作品名:ありがとう 作家名:森羅秋